がんの種類

中皮腫 (ちゅうひしゅ)【がんに効く食品サプリメント】


1.中皮腫とは

胸部の肺あるいは心臓などの臓器や胃腸・肝臓などの腹部臓器は、それぞれ、胸膜・腹膜・心膜などという膜に包まれています。これらの膜の表面をおおっているのが「中皮」で、この中皮から発生した腫瘍を中皮腫といいます。したがって、中皮腫には、その発生部位によって、胸膜中皮腫・腹膜中皮腫・心膜中皮腫などがあります。

また、中皮腫には、悪性のものと良性のものとがあります。悪性のものには限局性(1ヶ所にかたまりを形成するようなもの)とびまん性(広く胸膜や腹膜に沿ってしみ込むように発育するもの)とがあります。良性のものは、すべて限局性です。

胸膜および腹膜中皮腫は、そのほとんどがアスベスト(石綿)の吸引により発生します。アスベスト鉱山労働者やアスベストを扱う労働者に限らず、鉱山や工場周辺の住民、あるいは、労働者の家族にも発生しています。曝露(ばくろ)が多いほど、また曝露歴が長いほど、リスクが高くなります。アスベストに曝露してから、中皮腫が発生するまでの期間が長いのが特徴で、最短で20年前後、平均で約40年程度かかります。アモサイト(茶石綿)やクロシドライト(青石綿)などの、アンフィボール系のアスベストでリスクが高くなりますが、胸膜中皮腫はすべてのアスベストが原因となる一方、腹膜中皮種は、クリソタイル(白石綿)では起こりにくいことが知られています。詳細に調べれば、中皮腫患者のほとんどは過去に何らかのアスベスト曝露歴がありますが、特に女性では、明らかな曝露歴が見当たらない場合もあります。喫煙によって、アスベストによる肺がんリスクは強められますが、中皮腫のリスクが強められることはないものと考えられています。

中皮腫の死亡率は、1995年以降、男性で増加傾向、女性では横ばい状態で、中皮腫で亡くなる人の数は、男性が女性の約3倍、死亡率でも男性が女性の約4倍です(2004年)。中皮腫による死亡は高齢者に多く、中皮腫による死亡全体のなかで、65歳以上の占める割合は男性で約7割、女性で約8割です(2004年)。 欧米諸国の罹患(りかん)の年次推移を見ると、イギリスでは1970年ころから増加傾向が続いていますが、アメリカ、スウェーデン、オーストラリア、ニュージーランドでは、90年代をピークに減少傾向に転じています。

日本のアスベスト輸入量のピークは70年代半ばであり、潜伏期間が平均40年とされていることを考慮すると、今後、日本の中皮腫の罹患および死亡は増加することが予想されます。


2.症状

良性の中皮腫は、他の臓器へ転移したり、周囲の臓器へ浸潤(しんじゅん:がんが周囲へ拡がること)するような進み方をすることはありません。したがって、あまり症状がなく、検診の胸部単純X線写真でたまたま見つかったりすることがあります。しかし、まれには巨大なかたまりとなり、胸痛・咳がおこったり肺や心臓を圧迫して呼吸困難を伴うこともあります。また、腹膜の良性中皮腫もたまたま手術の際に見つかったりします。

一方、悪性の中皮腫は限局性のものもありますが、一般にはびまん性に胸膜あるいは腹膜などに沿って広範に拡がっていきます。胸膜のびまん性悪性中皮腫では、大量の胸水貯留による呼吸困難や胸痛がおこります。胸壁のしこりを触れるようになることもまれにあります。腹膜の悪性中皮腫では腹水貯留による腹部膨満などがおこります。


3.診断

良性の腹膜の中皮腫は、たまたま腹部の手術などで腹部を開けた時に見つかるようなまれなものです。悪性のびまん性腹膜中皮腫は非常にまれであり、腹腔(注1)内に広範に拡がるような悪性腫瘍は、むしろ胃・腸や卵巣などに別のもととなるがんがあって、それが腹腔内に散らばっているような場合がほとんどです。したがって、腹水をとってその性状やその中にいる腫瘍細胞を調べるとともに、これらの他の腹部臓器にがんがないかどうかを調べなければなりません。

良性の胸膜の中皮腫は、胸部単純X線写真や胸部CTで胸の中のしこりとして認められます。身体の外から細い針を刺して組織を採取して、診断がつくこともありますが、手術でやっと診断がつくこともあります。

一方、悪性のびまん性の胸膜中皮腫は、胸部単純X線写真や胸部CTで肺全体を包む込むように拡がった胸膜の肥厚や多数のしこりとして認められ、胸水を多量に伴うこともあります。しかし、肺がんなどの胸膜播種(きょうまくはしゅ:肺がんが胸膜面全体にばらまかれて拡がった状態)との鑑別が難しい場合も多く、胸に針を刺して胸水の中の腫瘍細胞を調べたり、局所麻酔下の生検(組織採取)や胸腔鏡(注2)などで胸膜面の腫瘍を採取してそれらを調べる必要があります。また、病巣の進展範囲を評価するために胸部・腹部CTやMRI、あるいは超音波検査などを行います。

(注1) 腹膜でおおわれたお腹の中の空間のこと
(注2) 胸腔、すなわち胸膜でおおわれた胸の中の空間(左右にあり各々内部に肺が存在しています)に胸壁を通して開けた穴から挿入する内視鏡のこと


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国立がんセンターがん対策情報センターより一部転載
タグ:中皮腫 がん
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