がんの種類

がんの種類(癌に効く食べ物)目次

各種のがんについて、がんの初期症状から治療後の生活に至るまで、その時点で必要と思われる情報を載せています。
☆脳・神経・目
脳腫瘍(小児)
脳腫瘍(成人)
神経膠腫
下垂体腺腫
聴神経鞘腫
網膜芽細胞腫
ぶどう膜悪性黒色腫
☆口腔・鼻・咽頭・喉頭
上咽頭がん
中咽頭がん
下咽頭がん
喉頭がん
☆胸部
肺がん
胸腺腫
中皮腫
乳がん
☆消化管
胃がんの初期症状
食道がん
大腸がん
 
☆肝臓・胆嚢・膵臓
肝細胞がん
胆管がん
胆嚢がん
膵がん
膵内分泌腫瘍
☆泌尿器
陰茎がん
腎盂・尿管がん
腎細胞がん
精巣腫瘍
前立腺がん
膀胱がん
☆女性
乳がんの初期症状
外陰がん
子宮頸部がん
子宮体部がん(子宮内膜がん)
子宮肉腫
絨毛性疾患
膣がん
卵巣がん
卵巣胚細胞腫瘍
☆皮膚
皮膚がんとは
皮膚がん前駆症・表皮内がん
有棘(ゆうきょく)細胞がん
基底細胞がん
悪性黒色腫(皮膚)
菌状息肉症
☆骨・筋肉
悪性骨腫瘍
軟部肉腫(成人)
軟部肉腫(小児)
☆その他
原発不明がん
遺伝性腫瘍・家族性腫瘍
☆白血病
白血病の原因、症状、診断と治療の基本
急性骨髄性白血病
急性リンパ性白血病
骨髄異形成症候群
慢性骨髄性白血病・慢性骨髄増殖性疾患
成人T細胞白血病リンパ腫
白血病(高齢者)
☆多発性骨髄腫
多発性骨髄腫の原因、症状と診断
治療と支持療法
造血幹細胞移植
新しい治療法(分子標的療法)‐サリドマイドおよびその誘導体、ボルテゾミブ
☆悪性リンパ腫
悪性リンパ腫
悪性リンパ腫の病理組織像
ホジキンリンパ腫
中高悪性度リンパ腫
バーキットリンパ腫
リンパ芽球性リンパ腫
濾胞性リンパ腫
マントル細胞リンパ腫
MALTリンパ腫
NK細胞リンパ腫
脳のリンパ腫
皮膚のリンパ腫
造血幹細胞移植1)自家移植
造血幹細胞移植2)同種移植
新しい治療・新しい薬
放射線治療の実際

がんの種類

膀胱がん【がんに効く食品サプリメント】


1.膀胱がんとは

膀胱は骨盤内にある臓器で、腎臓でつくられた尿が腎盂、尿管を経由して運ばれた後に、一時的に貯留する一種の袋の役割を持っています。膀胱がたまった尿で伸展されると、それを尿意として感じ、筋肉が収縮することによって排尿して、膀胱より尿を出しきるといった働きがあります。膀胱の表面は移行上皮という名前の上皮でおおわれ、伸縮性に富むことが特徴的です。膀胱がんは、この移行上皮ががん化することによって引きおこされ、組織学的には移行上皮がんが全体の90%を占めています。


膀胱がんの統計
尿路がん(腎盂、尿管、膀胱)の中で、膀胱がんが最も死亡数が多く、7割以上を占めます。罹患(りかん)数でも膀胱がんが最も多く、尿路がん全体の約半数を占めます。

年齢別にみた膀胱がんの罹患率は、男女とも60歳以降で増加し、40歳未満の若年では低いです。また、男性のほうが女性より膀胱がん罹患率が高く、女性の約4倍です。

罹患率の国際比較では、膀胱がんは欧米白人で高く、日本人を含む東アジア系民族では、本国在住者、アメリカ移民ともに低い傾向があります。

膀胱がんの原因
膀胱がんの確立されたリスク要因は喫煙であり、男性の50%以上、女性の約30%の膀胱がんは、喫煙のために発生するとの試算があります。また、職業性曝露(ばくろ)による、ナフチルアミン、ベンジジン、アミノビフェニルも確立したリスク要因とされています。発展途上国では、ビルハルツ住血吸虫症がリスク要因である可能性が高いとされています。その他、リスク要因の候補として、フェナセチン含有鎮痛剤、シクロフォスファミド、コーヒー、塩素消毒した飲料水が挙げられていますが、疫学研究では一致した結果は得られていません。

膀胱がんのタイプ
膀胱がんは、大きく分けて3つのタイプがあります。

 1.肉眼的に、ちょうどカリフラワーか、いそぎんちゃくのように表面がぶつぶつとなっているかたちをしたがん(乳頭がんともいいます)で、膀胱の内腔に向かって突出しています。しかし、がんの病巣は、膀胱の粘膜にとどまっていることが多く(表在性がん)、転移や浸潤(しんじゅん:がんが周囲に拡がること)をしないものです。
 2.1.のタイプのがんと異なり、がんの表面は比較的スムーズ(非乳頭がん)で、こぶのように盛り上がったものから、膀胱粘膜下に進展して粘膜がむくんで見えるものまでさまざまです。このがんは、膀胱を貫いて、壁外の組織へ浸潤しやすく、また転移しやすい特徴があります。
 3.膀胱の表面には、ほとんど隆起した病変を生じませんが、膀胱粘膜壁に沿って悪性度の高いがん細胞が存在している状態(上皮内がん)です。初期のがんではありますが、無治療でいると浸潤性のがんになっていきます。

これらのがんでは、それぞれ性格がかなり違っているために、どのタイプであるかによって治療法が異なってきます。また、膀胱がんは膀胱内に多発する傾向があるばかりか、尿の流れの上流である尿管や腎盂にも同様の病変が存在している場合がありますので注意が必要です。


2.症状

1)肉眼的血尿
膀胱がんの初発症状として、最も多く認められる症状です。膀胱炎と違って、痛みは伴わないことが一般的です。数日経過すると突然血尿が止まってしまう場合がありますが、心配ないということは決してありません。しかし、血尿があるからといって、必ずしも膀胱がんをはじめとする尿路系のがんがあるとも限りません。

2)排尿痛
ときに、膀胱がんの初発症状が排尿時痛や下腹部の痛みで出現する場合があります。この症状は膀胱炎と非常に類似していますが、抗生剤を服用してもなかなか治らないことが特徴です。

3)背部痛
初発症状になることはまれですが、膀胱がんが拡がり尿管口を閉塞することによって、腎臓がつくり出した尿が膀胱まで流れず、尿管、腎盂が拡張してくることがあります。これを水腎症と呼んでいますが、水腎症になると背中の鈍痛を感じることがあります。


3.診断

膀胱がんは、膀胱鏡を行うことによってほとんどが診断できます。尿にがん細胞が落ちているかを調べる尿細胞診も有効な検査です。しかし、小さな乳頭状のがんでは、尿細胞診ではっきりがん細胞と断定できないことがあります。ひとたび膀胱がんが見つかった場合には、他のがんと同様に、CTや胸部X線撮影、腹部のエコーなどでその拡がりと転移の有無を調べる必要があります。しかし、乳頭状のがんは転移したり局所で浸潤するようなことはまれですので、必ずしも全身の転移の検索は必要ではありません。また、膀胱にがんが見つかった場合、同じ移行上皮でおおわれている腎盂・尿管にも同様のがんが見つかる場合がありますので、腎盂・尿管の病変の有無をチェックする排泄性腎盂造影検査を行う必要があります。がんの確定的な診断には、腰椎麻酔下に膀胱粘膜生検が必要です。


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国立がんセンターがん対策情報センターより一部転載

がんの種類

前立腺がん【がんに効く食品サプリメント】


1.前立腺がんとは

前立腺の構造
前立腺は男性にだけあり、精液の一部をつくる臓器です。前立腺は、恥骨(骨盤を形成する骨のひとつで、下腹部に触れることができます)の裏側に位置し、栗の実のような形をしています。この前立腺にがんが発生する病気が前立腺がんです。


前立腺がんの統計
年齢別にみた前立腺がんの罹患(りかん)率は、65歳以上で増加します。罹患率の年次推移は、1975年以降増加していますが、その理由の1つは、Prostate Specific Antigen (PSA)による診断方法の普及によるものです。この方法によって、従来の直腸指診では困難であった早期のがんが発見されるようになりました。

死亡率の年次推移は、1950年代後半から90年代後半まで増加し、その後横ばい状態です。

日本人の罹患率は、欧米諸国およびアメリカの日系移民より低く、欧米諸国の中ではアメリカ黒人の罹患率が最も高い傾向があります。

前立腺がんの発生
がんは、前立腺の細胞が正常の細胞増殖機能を失い、無秩序に自己増殖することにより発生します。最近、遺伝子の異常が原因といわれていますが、正常細胞がなぜがん化するのかまだ十分に解明されていないのが現状です。がんは周囲の正常組織や器官を破壊して増殖し、他の臓器に拡がり腫瘤(しゅりゅう)を形成します。他の臓器にがんが拡がることを転移と呼びます。前立腺がんが、よく転移する臓器としてリンパ節と骨があげられます。

前立腺がんとラテントがん
前立腺がんは、年をとることによって多くなるがんの代表です。前立腺がんの中には比較的進行がゆっくりしており、寿命に影響を来さないであろうと考えられるがんも存在します。もともと前立腺がんは欧米に多い病気ですが、実はこのようなおとなしいがんに関しては欧米でも日本でも地域差はないといわれています。他の原因で死亡した男性の前立腺を調べてみると 日本人でも70歳を超えると2〜3割、80歳を超えると実に3〜4割に前立腺がんが発生しているとされています(このようながんをラテントがんと呼んでいます)。このような高齢者に発生する前立腺がんの25%から半数程度はおそらく寿命に影響を及ぼさないがんと考えられています。がんの中にもこのような生命に異常を来す可能性の低い場合もあるということです。一方で悪性度の高いがんは時間の経過とともに進行し、臨床的に診断されるようになります。この頻度には人種差があり、米国黒人ではもっとも頻度が高く、次に白人が高いとされています。

前立腺がんの原因と予防
前立腺がんの確立したリスク要因は、年齢(高齢者)、人種(黒人)、前立腺がん家族歴とされています。動物実験などから、アンドロゲンが前立腺がん発生に重要な役割を果たしているのではないかと考えられてきましたが、現在のところ、疫学研究ではこの仮説に一致する結果は得られていません。最近では、IGF-1によってリスクが高くなる可能性が指摘されています。

食事・栄養素に関しても、現状では確立された要因はありませんが、リスク要因として脂質、乳製品、カルシウム、予防要因として野菜・果物、カロテノイド(なかでもリコペン)、ビタミンE、セレン、ビタミンD、イソフラボンなどが候補に挙げられています。喫煙、体格、アルコール、身体活動についても、関連の可能性が探られています。


2.症状

他のがんと同じように早期の前立腺がんに特有の症状はありません。あるとしてもその多くは前立腺肥大症に伴う症状です。具体的には排尿困難(尿が出にくい)、頻尿(尿の回数が多い)、残尿感(排尿後、尿が出切らないで残った感じがする)、夜間多尿、尿意切迫(尿意を感じるとトイレに行くまでに排尿を我慢できない状態)、下腹部不快感などです。このような症状があり、たまたま病院を受診した際に前立腺がんの検診が併せて施行され、検査の結果、前立腺がんが発見されることがほとんどです。また前立腺がんが進行しても転移がない場合の症状は前立腺肥大症と大差はありません。

前立腺がんは進行すると骨に転移しやすいがんです。前立腺自体の症状はなく、たまたま腰痛などで骨の検査をうけ、前立腺がんが発見されることもあります。また肺転移によって発見されることもあります。


3.診断

PSA検査
前立腺がんの診断に関して、最も重要なのは前立腺特異抗原(PSAピーエスエー)とよばれる腫瘍マーカーの採血です。PSAはとても敏感な腫瘍マーカーであり、基本的に前立腺の異常のみを検知します。PSA値の測定は前立腺がんの早期発見に必須の項目です。ただPSA値が異常であれば、そのすべてががんになるというわけではありませんし、逆にPSA値が正常の場合でも前立腺がんが発生していないということにもなりません。あくまで、前立腺がんを発見するきっかけとなるひとつの指標です。PSAの測定法にはさまざまありますが、よく使われているタンデムR法では4〜10ng/mlがいわゆる「グレーゾーン」といわれており、その場合には25〜30%にがんが発見されます。ただし4ng/ml以下でも前立腺がんが発見されることもあります。PSA値が10ng/mlを超える場合には50〜80%にがんが発見されます。100ng/mlを超える場合には前立腺がんが強く疑われ、さらには転移も疑われます。

PSA検査は前立腺がんのスクリーニング検査としてはもっとも有用と考えられています。検診としてPSA検査を受けて頂く場合、PSA値が正常値以下であった場合の再検診の時期は、PSA値が1.1 ng/ml〜正常値以下では年1回、1.0 ng/ml以下では3年ごとが推奨されています。(前立腺癌診療ガイドライン 2006年版 日本泌尿器科学会編 金原出板)

PSA値に異常が認められる場合
PSA値に異常が認められる場合、専門医は肛門から指を挿入して前立腺の状態を確認する直腸診、あるいは肛門から専用の超音波器具を挿入する経直腸的前立腺超音波を行い前立腺がんの疑いがあるか検討します。

確定診断のための前立腺生検
PSA値あるいは直腸診、経直腸的前立腺超音波検査により前立腺がんの疑いがある場合、年齢も考慮しながら最終的な診断を行うために前立腺生検が実施されます。近年では超音波をガイドにして前立腺を描出しておき、細い針で前立腺を刺し、6ヵ所かそれ以上から組織を採取する「系統的生検」が一般的です。これは画像で異常がない場所からも前立腺がんが発見されることが多々あり、診断率を高めるためにある程度の本数が必要だからです。

グリーソンスコアー
顕微鏡検査で前立腺がんと診断された場合、前立腺がんは腫瘍の悪性度をグリーソンスコアーとよばれる病理学上の分類を使用して表現します。これはがんの悪性度を5段階に評価するものです。「1」が最もおとなしいがんで、「5」が最も悪いがんを意味します。前立腺がんの多くは、複数の、悪性度の異なる成分を有しているため、最も多い成分と次に多い成分を足し算してスコアー化します。これがグリーソンスコアーです。たとえば最も多い成分が「3」で次に多い成分が「4」の場合、「3」+「4」=「7」と評価されます。グリーソンスコアーの解釈ではスコアーが「6」か、それ以下は性質のおとなしいがん、「7」は前立腺がんの中で最も多いパターンで中くらいの悪性度、「8」〜「10」は悪性度の高いがんと理解されます。この分類は治療法を考えるうえでとても大切です。

画像診断
前立腺がんと診断された場合、病気の広がりを確認するため、Computed Tomography(CT、身体をエックス線で断面を調べる方法)あるいは、Magnetic Resonance Imaging(MRI、強い磁場の中で生ずる電磁波をコンピューターでとらえて断面像を得る方法)、骨シンチグラム(アイソトープの静注によって骨転移の有無を調べる方法)が施行されます。これらにより局所での進行の程度、リンパ節転移、あるいは骨転移の有無を確認します。

CTはリンパ節転移やがんの周辺への進展の有無を確認するために施行されます。MRIでは前立腺内でがんが存在している場所や前立腺内にがんがとどまっているか、あるいは前立腺外への進展がないか、精嚢への浸潤がないか、など特に治療として手術療法が考慮される場合には有用な情報が得られます。ただ全例に必要というわけではなく、専門医は状況を判断して必要な場合にどちらか、あるいは両方の検査を指示します。

骨シンチでは骨に異常がある場合には集積が強く描出されます。集積の度合いやそのかたよりなどにより骨転移があるかどうかを判定します。


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国立がんセンターがん対策情報センターより一部転載

がんの種類

精巣腫瘍 (せいそうしゅよう)【がんに効く食品サプリメント】


1.精巣腫瘍とは

精巣は、男性ホルモンを分泌すると同時に、精子をつくり生殖を可能にする臓器です。この2種類の機能を支える細胞は、同じ精巣にありながら別々のものです。男性ホルモンを産生するのは、ライディヒ細胞、他方、精子をつくるもとになるのは精母細胞と呼ばれています。精巣に発生する悪性腫瘍のほとんどは、この精母細胞から発生するもので胚細胞腫瘍とも呼ばれています。

精巣がんの確立したリスク要因は、停留精巣(乳幼児期に精巣が陰嚢(いんのう)内におさまっていない場合)の既往とされています。停留精巣を持つ男性の精巣がんリスクは、そうでない男性の2.5〜11.4倍と報告されています。ホルモン要因と遺伝要因も重要な原因と考えられ、胎児期のエストロゲン曝露(ばくろ)、精巣がんの家族歴もリスク要因の候補として挙げられています。また、後天性免疫不全症候群(AIDS)、耳下腺睾丸炎、EB(Epstein-Barr)ウイルスなどの感染症で精巣がんのリスクが高くなることから、免疫系もリスク要因である可能性が指摘されています。



精巣に発生する胚細胞腫瘍は、顕微鏡で観察した病理組織像により下記のように分類されます。

精巣にみられる胚細胞腫瘍の病理組織像による分類

(1) セミノーマ(精上皮腫)
セミノーマの像からのみ成り立っている場合

(2) 非セミノーマ
次の中から、少なくとも1種類が構成成分の中に見られる場合

胎児性がん
卵黄嚢腫(らんおうのうしゅ)
絨毛がん
奇形腫

セミノーマと非セミノーマの分類は、その後の治療方針を決定する上で非常に重要です。その理由は、セミノーマでは抗がん剤を投与する化学療法と放射線療法がともに有効で、他方、非セミノーマでは化学療法は有効ですが、放射線療法は有効でないからです。

年齢別にみた精巣がんの罹患(りかん)率は、20歳代後半から30歳代にかけてピークがあります。また、40歳未満の罹患は全罹患数の約3分の2を占めます。精巣がんによる死亡が、がんで亡くなる人全体に占める割合は1%未満です。罹患率の国際比較では、欧州諸国は日本の2倍以上であり、アメリカでは人種を問わず高い傾向があります。組織学的分類では、胚細胞腫瘍が全体の約95%を占め、そのうちセミノーマが約70%、胎児性がんと複合組織型がそれぞれ約10%、卵黄嚢腫、絨毛がん、および奇形腫がそれぞれ数%となっています。


2.症状

多くの場合、痛みや発熱を伴わない陰嚢の腫大に気づくことで発見されます。常に気をつけて精巣の大きさやかたさに注意していない限り、精巣内のしこりが小さい時期に自分で発見することは困難です。ときに、精巣を強打して、はじめてその腫大に気づくこともあります。陰嚢内にかたいしこりを触れる場合、精巣上体(副睾丸)炎や精巣軸捻転などの病気が多いのですが、これらの疾患では多くの場合、痛みや発熱などの症状を伴うことが特徴です。また、無症状のままで陰嚢内にしこりを触れる特殊な場合として、結核菌による精巣上体(副睾丸)炎や陰嚢内に水がたまる陰嚢水腫などの疾患があります。

転移病巣による症状で発見されることもあります。例えば、腹部大動脈や大静脈の周囲のリンパ節が非常に大きくなった場合には、心窩部(しんかぶ:みぞおちのあたり)にかたい大きなしこりを触れたり、このしこりによる腰痛を訴えるようになります。この痛みは、あおむけに寝ると強くなります。また、多数の肺転移があると、息切れが強くなったり、咳とともに血液の混じった痰が出るようになります。


3.診断

最初に陰嚢内のしこりについて確認します。腫瘍が小さく、精巣の一部を占めるだけの時には、触診でやわらかい精巣の中のかたいしこりとして触れます。このようにしこりが小さい時には、超音波検査で精巣内の様子を観察することができます。腫瘍が精巣内をほとんど占拠するようになると、精巣全体がかたいしこりとして触れます。精巣が全体にかたくなった時期では、左右の大きさの差、かたさの相違などから自己判断もできます。部屋を暗くして直接に陰嚢に光をあてて、どの程度、光線を通すか(透光性)を確認します。水が貯留した水腫では全体に明るく、光が通るのが見えます。超音波検査で、腫瘍か水腫かの判断もできます。

悪性腫瘍が疑われた場合には、この腫瘍は非常に速く増殖し、転移しやすいという特徴がありますので、診断の意味も込めて直ちに精巣を摘出する手術をします。もし、転移がなければ原発病巣を摘出するだけで根治したことになります。

精巣原発の胚細胞腫瘍の診断において、腫瘍マーカーの役割は非常に重要です。腫瘍マーカーとは、腫瘍細胞が産生する物質で、腫瘍の種類や量を知る目印になるものです。腫瘍マーカーには、αフェトプロテイン(AFP)、HCGあるいはHCG-β、ときにLDHなどがあり、この腫瘍マーカーの種類と存在する病理組織像の間には相関があります。そこで、腫瘍マーカーの数値により、病理組織が推定できるわけです。ただし、すべてのタイプの腫瘍が腫瘍マーカーを産生するわけではありません。セミノーマや奇形腫では、多くの場合腫瘍マーカーは上昇しません。

原発病巣の診断が確定したら、次に転移の有無に関する診断を開始します。精巣に発生した胚細胞腫瘍は、他臓器にみられる悪性腫瘍と同様に、原発臓器(精巣)にしばらく限局して増大し、やがて転移します。多くの場合、最初に転移するのは腹部大動脈周囲のリンパ節で、精巣からリンパ管を経由して転移します。次いで肺や横隔膜より上のリンパ節、さらに肝臓、脳などに転移します。腹部リンパ節転移や肝転移に対しては腹部CTや腹部超音波検査、ときにMRIなどが実施されます。肺転移に対しては、胸部単純撮影、胸部CTが実施されます。脳転移についてはMRIあるいは、脳CTが実施されます。


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国立がんセンターがん対策情報センターより一部転載

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腎盂・尿管がん (じんう・にょうかんがん)【がんに効く食品サプリメント】


1.腎盂・尿管がんとは

左右の腎臓でつくられた尿は、腎杯から腎盂、これに続く尿管と流れていき、膀胱に貯留されます。排尿時には、膀胱から尿道を通って排尿されます。このうち、腎盂と尿管を上部尿路と呼び、ひとつのグループとして扱われています。腎盂、尿管と膀胱、尿道の一部は移行上皮と呼ばれる粘膜で構成されています。尿路に発生するがんは、主に移行上皮がんと呼ばれる種類のがんです。腎盂・尿管がんも多くは移行上皮がんです。

尿路がん(腎盂、尿管、膀胱)の中で、膀胱がんが最も死亡数が多く、7割以上を占めます。罹患(りかん)数でも膀胱がんが最も多く、尿路がん全体の約半数を占めます。年齢別にみた腎盂尿管がんの罹患率は、50歳代から70歳代で高くなります。腎盂尿管がんの罹患率は、男性のほうが女性より多く、2倍以上です。

腎盂・尿管がんについては、喫煙とフェナセチン含有鎮痛剤が、確立されたリスク要因とされています。

腎盂・尿管がんは、膀胱がんと同様、尿路内のいろいろな場所に多発、再発しやすい特徴を持っています。腎盂と尿管や、腎盂と膀胱にがんが同時に認められることもあります。腎盂・尿管がんを治療後、30〜40%程度、膀胱内にがんが発生することが知られています。膀胱がんの治療で、内視鏡手術などを頻回に受けた場合を除けば、膀胱がん治療後に腎盂尿管がんが発生することはまれですし、また腎盂・尿管がんが両側に発生することもまれです。


2.症状
最も多い症状は、肉眼的血尿です。尿管が血液で詰まった場合や、がんが周囲に進行した場合などには、腰の痛み、背中の痛みがおこることがあります。これらの痛みは、尿管結石によるものと同じような痛みです。腎盂・尿管がんでは、尿管が徐々に閉塞した場合には、水腎症と呼ばれる上部尿路の拡張がおこることがあります。この状態があまりに長期にわたると、腎臓の機能がなくなってしまっていることがあります(無機能腎)。片方の腎臓が機能しなくなっていても、もう一方の腎臓が機能をカバーするため、尿の出が少なくなったり、身体がむくむなどの腎不全のような症状は認められません。近年、超音波検査が広く行われるようになって、特別な症状がなくて、腎盂内に腫瘍が偶然発見されたり、水腎症が認められ精密検査の結果、腎盂・尿管がんが発見されることもあります。


3.診断
肉眼的血尿が認められた場合、まず出血源を見つけるために膀胱鏡検査が行われます。頻度的には、腎盂・尿管がんより膀胱がんの発生のほうが頻度が高いので、まず膀胱がんの存在を疑って検査します。膀胱内に腫瘍が見つからない場合、左右の尿管口より出血がないか確認します。

また、尿のがん細胞の有無を確認する尿細胞診検査を行います。尿細胞診ではがん細胞の存在のみならず、がん細胞の異型度も判定できることがあります。異型度は、がん細胞のかたちや大きさ、細胞間のまとまりなどをもとに個々のがん細胞の持つ浸潤や転移する能力(悪性度)を表現したものです。グレードとも呼ばれ1、2、3の3段階に分かれており、1は最もおとなしく、3は最も悪性の度合いが高いがん細胞です。

続いて腎機能に問題がなければ、排泄性腎盂造影(DIP)と呼ばれる検査が行われます。この検査は、造影剤を静脈より点滴し、何回かX線撮影を行う検査です。この検査によって、造影剤が腎臓から腎盂や尿管に排泄される状況、腫瘍の有無などの異常がわかります。

腹部超音波検査も簡便で有用な検査です。この検査によって腎盂内の腫瘍の有無や、水腎症の有無、リンパ節転移の有無などが把握されます。

以上の検査によって異常が指摘されれば、逆行性腎盂造影(RP)が実施されます。この検査は、膀胱鏡下に尿管口より細いカテーテル(チューブ)を尿管から腎盂に向けて挿入します。この時、尿管から直接尿を採取し、尿細胞診検査を行うことがあります。さらにこのカテーテルから造影剤を注入します。この検査は、DIPでは造影効果が不十分であった部位やその他の異常を明確にすることができる非常に診断的価値の高い検査法です。カテーテルがどうしても挿入できない場合や、尿管の下端だけしか造影されない場合などは、超音波をガイドに直接、腎盂を細い針で穿刺し造影することがあります。

がんの拡がりを調べるため、CTや骨シンチグラフィー(ラジオアイソトープを使った骨のX線検査)、胸部X線撮影などを行います。これらの検査で骨、肺、リンパ節、肝臓などへの転移の有無が確認されます。


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国立がんセンターがん対策情報センターより一部転載

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膵がん(すいがん)【がんに効く食品サプリメント】


1.膵がんとは

膵臓から発生したがんのことを一般に膵がんと呼びます。膵臓は胃の後ろにある長さ20cmほどの細長い臓器で、右側は十二指腸に囲まれており、左の端は脾臓に接しています。右側はふくらんだ形をしているので頭部と呼び、左端は細長くなっているので尾部といいます。頭部と尾部との間の1/3ぐらいの大きさの部分を体部と呼びます。膵臓の主な働きは、消化液をつくること(外分泌)と血糖を調節するホルモンをつくること(内分泌)です。膵臓がつくる消化液は膵液と呼ばれ、膵臓の中を網の目のように走る膵管という細い管の中に分泌されます。細かい膵管は膵臓の中で主膵管という一本の管に集まり、肝臓から膵頭部の中へ入ってくる総胆管と合流した後、十二指腸乳頭というところへ開いています。肝臓でつくられた胆汁と膵臓でつくられた膵液はこうして一緒に十二指腸の中へ流れ込むのです。膵臓でつくられるホルモンは、血糖を下げるインスリンや逆に血糖を上げるグルカゴンなどで、これらは血液の中に分泌されます。膵臓にできるがんのうち90%以上は外分泌に関係した細胞、特に膵液を運ぶ膵管の細胞から発生します。これを特に膵管がんといいます。普通、膵がんといえばこの膵管がんのことをさします。内分泌細胞から発生する「膵内分泌腫瘍」については別項目を参照して下さい。

年齢別にみた膵がんの罹患(りかん)率は60歳ごろから増加して、高齢になるほど高くなります。死亡率の年次推移は、男女とも戦後1980年代後半まで増加し、1990年代以降は横ばいまたは漸増傾向にあります。死亡率は、男性のほうが高く、女性の約1.7倍です。罹患数は死亡数とほぼ等しく、膵がん罹患者の生存率が低いことと関連しています。死亡率の国際比較では、以前は日本の膵がんの死亡率は低いレベルでしたが、1960年代から80年代後半まで増加して欧米諸国並みになった後、欧米諸国同様、横ばいに転じました。罹患率の国際比較では、日本人は国際的にみて高いレベルにありますが、最も高いのはアメリカ黒人です。一方、国内では、北日本における死亡率が高い傾向があります。

膵がんは、相対的には発生率が低かったことなどの理由で、疫学的な研究結果が限られています。膵がんのリスク要因として確立されているのは、喫煙だけです。少量から中程度の飲酒やコーヒーとの関連は、かつては注目されていましたが、今のところ否定的です。食事要因としては、高脂肪食や肉摂取がリスクを増加させ、また野菜・果物摂取がリスクを低下させる可能性が示されています。その他、糖尿病の罹患や大量飲酒に伴う慢性膵炎によってリスクが上がるという一致した報告がありますが、さらに研究が進んだ段階で結論を出す必要があります。

わが国では、毎年22,000人以上の方が膵がんで亡くなっています。しかし、残念なことに、その診断と治療はいまだに難しいことが知られています。膵臓は身体のまん中にあり、胃・十二指腸・小腸・大腸・肝臓・胆嚢・脾臓などに囲まれているため、がんが発生しても見つけるのが非常に難しいのです。その上、どんな人が膵がんになりやすいのかもあまりわかっていません。また、早い段階では特徴的な症状もありません。このような理由で、胃がんや大腸がんのように早期のうちに見つかるということはほとんどありません。膵がんとわかった時にはすでに手遅れということが多いのです。早期発見はどのような治療よりも治癒率の向上に貢献しますので、どうしたら早く発見できるかという研究が意欲的に続けられています。


2.症状

膵がん、特に早期の膵がんに特徴的な症状はありません。膵がんの方が病院へ来られた理由を調べてみますと、最も多いのは胃のあたりや背中が重苦しいとか、なんとなくお腹の調子がよくないとか、食欲がないなどという漠然としたものです。この他に、体重の減少などもよくおこります。このような症状は膵がんでなくてもいろいろな理由でおこるものです。比較的膵がんに関連のあるものとして、身体や白目が黄色くなる黄疸があります。この時は、身体がかゆくなったり、尿の色が濃くなったりもします。黄疸は、膵臓の頭部にがんができて、胆管がつまってしまった時におこるのですが、胆石や肝炎などが原因の時もあります。 そのほか、膵がんができると、糖尿病を発症したり血糖のコントロールが急に悪くなったりすることがあります。


3.診断

漠然とした消化器症状の方に対しては、まず超音波検査(注1)や内視鏡・胃のレントゲン検査などを行って、胃炎・胃潰瘍・胆石などの一般的な消化器の病気がないかどうか調べます。超音波検査では膵臓の観察もできますので、異常があれば次の検査に進みます。また、超音波では異常がはっきりしない場合でも、症状や血液検査のデータで、膵臓や胆管などに病気のある可能性がある場合には、X線CT(注2)やMRI(注3)など超音波以外の方法で身体の断面を観察することのできる検査を行います。また、ERCP(注4)という検査を行う場合もあります。この検査は、胃カメラのような内視鏡を十二指腸まで運び、前に述べた十二指腸乳頭という膵管と胆管の出口に細い管を差し込み、造影剤を注入して膵管や胆管の形を調べるものです。この時に、膵液を採取して細胞の検査やがん遺伝子の検査を行うこともあります。最近では、MRIを利用してERCPと類似した情報を得ることができるMRCPという技術が普及しました。患者さんの負担が小さいという利点があるため、ERCPの代用としてこちらを行うことが多くなってきています。さらに、必要があれば血管造影を行います。これは、足のつけ根の動脈から細い管を差し込んで、膵臓やその周辺に向かう動脈に造影剤を流し、血管の構造や病気による変化を調べるものです。

黄疸のある場合には、まず超音波検査で胆管がつまっているかどうかを確認します。胆管がつまって太くなっている場合(閉塞性黄疸)には、超音波で観察しながら肝臓の中の胆管に針を刺し、これを利用して細い管を胆管の中に入れます。この管から造影剤を注入すると胆管がどこでつまっているかわかります。これをPTC(注5)といいます。また、この管から胆汁を外に流し出すことにより黄疸を治療することができます(PTBD:注6)。PTBDを行っても黄疸が消失するまでには時間がかかりますので、その間に前に述べたような検査を行って診断を進めていきます。 なお、閉塞性黄疸に対しては、内視鏡を用いて胆管の出口(十二指腸乳頭)から胆管の中に管を入れる方法(ERBD)が選択されることもあります。


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陰茎がん(いんけいがん)【がんに効く食品サプリメント】


1.陰茎がんとは

陰茎がんは、陰茎に発生する極めてまれながんで、人口10万人当たりの死亡率は0.1程度です。年齢別にみた罹患(りかん)率は、60歳から80歳で高く、65歳から70歳にピークがあります。罹患率の国際比較では、日本は欧米に比べて低い傾向があります。

陰茎がんは、新生児期に包皮切除を行う習慣のある地域では発生率が低いことから、包茎、亀頭包皮炎、生殖器の不衛生がリスク要因ではないかと考えられています。梅毒や尖圭コンジロームなどの性感染症や、性的パートナーが多いこと、また、陰茎がんの男性を夫に持つ女性では子宮頸がんのリスクが高くなることから、ヒューマン・パピローマ・ウイルス(human papillomavirus:HPV)感染もリスク要因の候補に挙げられています。その他、光化学療法PUVA(ソラレン8-methoxypsoralen+UV-A)を受けている乾癬(かんせん)患者でリスクの上昇が報告されていて、紫外線もリスク要因となる可能性が指摘されています。


2.症状
陰茎がんは、痛みを伴わないのが普通です。がんはまず陰茎の皮膚から発生しますが、進行すると海綿体や尿道にも浸潤(しんじゅん:がんが周囲に拡がること)し、排尿が困難になることがあります。がんが大きくなると潰瘍(かいよう)を形成したり、がんが崩れて出血することがあります。また、陰茎がんは鼠径部(そけいぶ)と呼ばれる大腿のつけ根の部分のリンパ節に転移しやすいので、進行すると鼠径部のリンパ節をかたく触れるようになります。これがさらに大きくなると、リンパの流れが悪くなって、足のむくみが出現することがあります。がんの発生場所のため、医師の診察を受けるのが遅れ、がんの早期発見の機会を逃して手遅れとなることが多いので、自覚症状があったらすぐに診察を受けることが大切です。


3.診断
肉眼的に見て診断がつく場合がほとんどです。しかし、確定診断のためには、局部麻酔をして病変部の一部を切除して顕微鏡で検査する(生検)か、病変部をこすってはがれた細胞を顕微鏡で調べる検査(細胞診)が必要です。陰茎によくみられる他の疾患、特に尖圭(せんけい)コンジローマという病気がありますが、これが大きくなると陰茎がんとの鑑別がやや難しくなるので、これらの検査が必要です。

その他に最も転移しやすい鼠径部のリンパ節の触診も重要です。

がんであることがわかったら他のがんと同様、胸部X線撮影、腹部のCT、エコーなどで他臓器に転移がないかを確かめる必要があります。


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胆管がん【がんに効く食品サプリメント】


1.胆管がんとは

胆管は肝臓でつくられる胆汁を十二指腸まで導く導管で、肝臓の中から木の枝が幹に向かって集まるように徐々に合流して太くなっていき、多くの場合、肝臓から出る際に左と右の胆管(左右の肝管)が合流して一本となります。胆管は、肝臓の中を走る肝内胆管と、肝臓の外に出てから小腸までの肝外胆管に分けられます。発生学的には、消化管の芽である肝外胆管と、肝内に樹脂状に発達した肝内胆管は別のものですが、それがつながった状態ではどこからが肝外胆管なのかは明確にはわかりません。肝外胆管は長さが約8cmの細い「くだ」で、肝門部・上部・中部・下部胆管の4つに区分されます。肝外胆管の途中で胆汁を一時的にためておき、濃縮する袋が胆嚢(たんのう)です。これら肝内外胆管と胆嚢、十二指腸乳頭部をあわせて胆道と呼びます。胆管がんは胆管の上皮から発生する悪性腫瘍です。その発生した部位の胆管により、肝内胆管がんと肝外胆管がんの2種類に分けられますが、一般に「胆管がん」の場合は、主に肝外胆管に発生したがんを指します。肝内胆管がんは肝臓にできたがんとして、肝細胞がん(略して肝がん)と一緒に取り扱われることが多いのです。


胆管がんは、胆管の内側の粘膜から発生しますが、大きく分けて以下の3つの発育の仕方があります。

浸潤(しんじゅん)性発育
肝外胆管がんで最もよくみられます。胆管粘膜から発生したがんは、インクが紙にしみ込むように周辺へ拡がっていきます。
胆管内発育
主に胆管の内側の空間にだけ向かって、きのこのようなかたちに盛り上がるように大きくなるものです。
腫瘤(しゅりゅう)形成性発育
腫瘍がかたまり(腫瘤)をつくって大きくなります。

肝外胆管がんは、1と2の発育形式をとり、肝内胆管がんは主に3の発育をしますが、2やまれには1の発育を示すものもみられます。

年齢別にみた胆嚢・胆道がんの罹患(りかん)率、死亡率は、ともに50歳代以降増加します。罹患率の年次推移は、男女とも1975年から80年代後半まで増加傾向でしたが、80年代後半から2000年にかけて男性は横ばい、女性は減少傾向になっています。胆嚢がんの死亡率は女性のほうが高く、男性の約1.2倍、胆道がんでは男性のほうが高く、女性の約1.7倍です。胆嚢・胆道がんの死亡率の年次推移は、男女ともに1950年代後半から80年代後半まで増加傾向にありましたが、1990年代から減少傾向にあります。胆嚢・胆道がん罹患率の国際比較では、日本人は他の東アジアの国の人やアメリカの日系移民、欧米人に比べて高い傾向があります。

胆嚢・胆道がんは、発生率が低いために、疫学的な研究結果は限られています。その中で、胆石や胆嚢・胆管炎、潰瘍(かいよう)性大腸炎、クローン病、原発性硬化性胆管炎、膵(すい)胆管合流異常症などの胆道系疾患の既往は、胆嚢がんのリスク要因として知られています。そして、胆嚢摘出術などによる治療は、胆道がんのリスクを低下させるという報告もあります。その他、女性であること、肥満や高カロリー摂取、野菜・果物の低摂取、出産回数が多いこと、特殊なものとしては、ある種の農薬との関連などがリスク要因の候補として挙げられています。


2.症状

1)黄疸
がんができることによって胆管内腔は閉塞し、胆汁が流れなくなります。細くなった部分より上流(肝臓側)の胆管は圧が上がって拡張し、ついには胆汁が胆管から逆流して血管の中に入るようになると、胆汁中に含まれるビリルビンという黄色い色素のために皮膚や目の白い部分が黄色くなります。これを閉塞性黄疸といいます。

2)白色便
胆汁が腸内に流れてこなくなると便の色が白っぽいクリーム色になります。日本人は黄色人種なので、黄疸の程度が軽いうちは気がつかず、便の色が白っぽいことで最初に気がつくこともあります。

3)黄疸尿
血液中のビリルビン濃度が高くなると尿中に排泄されるようになり、尿の色が茶色っぽく濃くなります。

4)かゆみ
黄疸が出ると皮膚のかゆみも同時にあらわれることが多く、これは胆汁中の胆汁酸という物質がビリルビンと一緒に血管内に逆流するためです。


3.診断
胆管がんは前述したように、周りの組織にしみ込むように拡がることが多く、明瞭な腫瘍としてのかたまりをつくらないので、その実体を正確に描出し診断することは容易ではありません。しかし、近年では画像診断技術の進歩により胆管がんをより早期に発見し、またその存在部位や拡がりをかなり正確に診断できるようになりました。

1)超音波検査
胆管の拡張を調べるのに適しており、外科的処置が必要な閉塞性黄疸かどうかの判断にとても有用です。胆管の拡張の仕方を見ることで胆管の閉塞部を推測できます。また、ある程度かたまりとしての腫瘍をとらえることができます。外来で手軽に行うことができ、苦痛も全くなく、すぐに検査結果がわかります。胆管がんや膵がんでは、前述のように閉塞性黄疸を伴うことが多いので、超音波検査は最初に行われるべき検査です。

2)CT(コンピュータ断層撮影)
腫瘍の存在部位や拡がりをとらえることができます。胆管の拡張程度・部位も調べることができます。また造影剤を用いることで、腫瘍部・非腫瘍部組織の血流の差を利用して腫瘍を浮かび上がらせることもでき、腫瘍がどの程度周囲の血管に浸潤(しんじゅん:がんが周囲に拡がること)しているかも推測できます。

3)MRI(磁気共鳴画像)
CTと同様に胆管の拡張や病変の存在部位・拡がりを診断できますが、CTとは情報の内容が違い、互いに相補って診断に寄与します。

4)PTC(経皮経肝胆道造影)
がんのために胆汁の流れをせき止められ、太くなった上流の胆管に直接針を刺し、造影剤を注入する方法です。胆管の狭窄(きょうさく)・閉塞の様子が詳しくわかり、腫瘍の存在部位や拡がりの診断に有用です。同時に黄疸の治療として、下流に流れなくなった胆汁を身体の外に導出する処置も行うのが普通です。これをPTCD(経皮経肝胆道ドレナージ術:ドレナージとは「水などをある場所から導き出す」という意味です)といいます。とり出した胆汁中のがん細胞を調べることでがんの確定診断に有用です。また、この経路を使用して、直接胆管の中に細いファイバースコープを挿入し、胆管の粘膜を観察したり、その小さな組織片を採取し、腫瘍の拡がりをより詳しく調べる方法もあります(PTCS:経皮経肝胆道鏡検査)。

5)ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影法)
ファイバースコープを十二指腸まで挿入し、胆管と膵管の出口である十二指腸乳頭から細いチューブを入れ、造影剤を注入して胆管や膵管のかたちを調べる方法です。PTCとは逆に、詰まっている部分より下流の情報が主に得られます。PTCと併用することで、狭窄・閉塞部位についてより詳しい情報が得られます。

6)その他の検査
血管造影検査は、手術の前に肝臓や膵臓の周りの血管への腫瘍による浸潤や走行異常を調べるために施行します。


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膵内分泌腫瘍 (すいないぶんぴしゅよう)【がんに効く食品サプリメント】


1.膵内分泌腫瘍とは

膵臓の機能は消化液としての膵液を排泄する外分泌機能と、種々のホルモンを産生する内分泌機能に大別されます。膵外分泌機能?営む領域は膵全体の95%を占めます。内分泌機能を営むのは、膵内に散在するランゲルハンス島であり、膵全体の5%を占めます。このランゲルハンス島から発生する腫瘍はランゲルハンス島腫瘍、あるいはランゲルハンス島細胞腫瘍と呼ばれています。しかし、近年ランゲルハンス島を構成する内分泌細胞はランゲルハンス島だけでなく、膵外分泌機能に関係する膵管上皮や腺房細胞間にも存在していることが判明したため、広い意味で膵内分泌腫瘍と呼ばれることが多くなりました。これらは一般にいう膵外分泌機能を営む領域から発生する膵がんとは区別されます。

膵内分泌腫瘍は、血液中にホルモンを過剰に分泌する機能性腫瘍と、ほとんどホルモンを産生しない無機能性腫瘍とに分けられます。また、ホルモンを過剰に分泌する場合には、そのホルモン独自の症状が出現しますので症候性腫瘍と呼び、症状の出現しない無機能性腫瘍のことを無症候性腫瘍とも呼ぶことがあります。

関連するまれなものとして、多発性内分泌腺腫症という病気があります。これは、家族性に多発する複数の内分泌組織に腫瘍が発生する病気で、他の内分泌組織(下垂体、副甲状腺など)とともに膵臓にも腫瘍を合併することがあります。

頻度
膵内分泌腫瘍は膵腫瘍全体の約2%前後、人口10万人あたり1人以下がかかるまれな病気です。

膵内分泌腫瘍の多くは症候性腫瘍で、血糖を調節するホルモンであるインスリンを過剰に産生するインスリノ−マが約7割を占めます。ガストリンを過剰に産生し、過酸症による難治性消化性潰瘍を生じるガストリノ−マが約2割、その他のホルモンを過剰に産生する腫瘍が残りを占め、さらに頻度は少なくなっています。

また、無症候性腫瘍は膵内分泌腫瘍の15〜20%といわれていますが、最近画像診断の進歩で偶然発見される無症候性腫瘍が増加しています。


2.症状

1)症候性腫瘍
症状は過剰に産生されるホルモンによって異なります。

(1)インスリノーマ
乳幼児から高齢者まで広くみられ、男女比ではやや女性に多いようです。低血糖症状をおこし、食事の摂取で回復します。軽い低血糖発作時にはもうろうとして異常行動を伴うことがあり、精神病と区別が難しいことがあります。小児の場合は痙攣や昏睡が主症状で、長期にわたると精神障害がおこることがあり、早く診断することが重要です。

(2)ガストリノーマ
小児から高齢者にみられ、男性にやや多いようです。ガストリンは胃酸の分泌を亢進し、腹痛や胸やけという過酸症状をおこします。古くからゾリンジャーエリソン症候群といわれ、なかなか治らない消化性潰瘍、食道炎がある場合はこの病気も考慮します。

(3)VIP産生腺腫(血管活性腸ポリペプチド腫瘍)
小児から高齢者にみられ、女性に多いようです。WDHA症候群とも呼ばれています。大量の水様性下痢、血液中のカリウムの減少、低〜無胃酸症を示す症候群です。通常、1日3リットル以上の下痢をおこします。その他にもいくつかの症候性腫瘍が報告されていますが、まれな腫瘍です。

2)無症候性腫瘍
ホルモンによる症状はなく、腫瘍が大きくなり腹部腫瘤を触知したり、腹痛、黄疸などの症状が出現します。30〜50歳の女性に多いといわれています。最近では、腹部超音波検査で自覚症状のない無症候性腫瘍が発見されることがあります。比較的小さい腫瘤が発見された場合は、通常の膵がんとの鑑別が困難な場合もあります。


3.診断

症候性腫瘍ではホルモン特有の症状を詳しく尋ね、この病気の可能性を検討します。さらに原因ホルモンの異常分泌がないかどうか、血液検査を行って確認します。次に腫瘍が膵臓のどこにあるのか、いくつあるのか、どの程度の大きさなのか、拡がりはどの程度かについて詳しく調べるために腹部超音波検査、CT検査、血管造影検査を行います。

症候性腫瘍の場合は、他の内分泌組織に腫瘍を合併する多発性内分泌腺腫症かどうかを調べます。

無症候性腫瘍は、腹部超音波検査、CT検査、血管造影検査、内視鏡を用いる膵管造影を行い、腫瘍の拡がりを調べると同時に他の膵腫瘍との鑑別診断が重要となります。


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胆嚢がん【がんに効く食品サプリメント】


1.胆嚢(たんのう)がんとは

肝臓から分泌された胆汁が十二指腸に流れ出るまでの経路を胆道といい、胆嚢管という細いらせん状の管を介して、胆汁を一時的に貯留しておく袋状の部分が胆嚢です。胆嚢および胆嚢管にできるがんを胆嚢がんといいます。

年齢別にみた胆嚢・胆道がんの罹患(りかん)率、死亡率は、ともに50歳代以降増加します。罹患率の年次推移は、男女とも1975年から80年代後半まで増加傾向でしたが、80年代後半から2000年にかけて男性は横ばい、女性は減少傾向になっています。胆嚢がんの死亡率は女性のほうが高く、男性の約1.2倍、胆道がんでは男性のほうが高く、女性の約1.7倍です。胆嚢・胆道がんの死亡率の年次推移は、男女ともに1950年代後半から80年代後半まで増加傾向にありましたが、1990年代から減少傾向にあります。 胆嚢・胆道がん罹患率の国際比較では、日本人は他の東アジアの国の人やアメリカの日系移民、欧米人に比べて高い傾向があります。

胆嚢・胆道がんは、発生率が低いために、疫学的な研究結果は限られています。その中で、胆石や胆嚢・胆管炎、潰瘍(かいよう)性大腸炎、クローン病、原発性硬化性胆管炎、膵(すい)胆管合流異常症などの胆道系疾患の既往は、胆嚢がんのリスク要因として知られています。そして、胆嚢摘出術などによる治療は、胆道がんのリスクを低下させるという報告もあります。その他、女性であること、肥満や高カロリー摂取、野菜・果物の低摂取、出産回数が多いこと、特殊なものとしては、ある種の農薬との関連などがリスク要因の候補として挙げられています。

超音波検査の普及で、胆嚢に腫瘍が発見される機会が増加しました。胆嚢の腫瘍には悪性腫瘍である胆嚢がん以外に腺腫や各種のポリープなどの良性腫瘍が数多くみられます。したがって、胆嚢腫瘍をただちに胆嚢がんと考える必要はありませんが、専門医による確実な診断を受けることが大切です。


2.症状

胆嚢がんの初期では、併存する胆石症や胆嚢炎による腹痛や発熱などの症状が出現することはあっても、がん自体による特徴的な症状はありません。しかし、胆嚢がんが進行して、他の臓器(総胆管、十二指腸、肝臓など)に進展すると、その程度により種々の症状が出てきます。

1)腹痛
最もよくみられる症状で、上腹部や右の肋骨の下に鈍痛が出現します。胆石が合併していれば、繰り返しおこる強い痛みや右の背中へ広がる痛みがおこることがあります。

2)黄疸
次によくみられる症状で、がんが進行し胆汁の通路である胆道を閉塞すると出現するものです。通常は進行がんにみられる症状です。

3)腹部腫瘤(しゅりゅう)
右の肋骨の下に腫瘤として胆嚢を触れることがあります。黄疸がある場合は、腫大した肝臓の一部を触れたりします。


3.診断

1)定期検診
40歳を過ぎたら、年に1回は人間ドックなどの定期検診を受けて下さい。通常は胆嚢の超音波検査が行われますので、無症状の胆嚢がんが発見されることがあります。他のがんと同様ですが、最も大切なことは早期発見です。胆石症がある場合は、無症状でも定期的なチェックや治療が必要です。

2)血液検査
胆嚢がんの初期では血液検査で異常は出ません。しかし、がんが近くにある胆道を圧迫するようになると、血清ビリルビンやアルカリフォスファターゼ(ALP)が異常高値となり、さらに進むと黄疸が出ることがあります。腫瘍マーカーであるがん胎児性抗原(CEA)やCA19-9の数値が、胆嚢がんの50〜80%で高値になります。ただし、これらの検査は胆嚢がんで必ず上昇するとは限らず、あくまで補助的な検査です。したがって、次にあげる画像検査を受けることが大切です。

3)画像検査
各種の画像検査のなかでは、超音波検査は苦痛が少なく反復して行えるので、胆嚢疾患のスクリーニングとして最適です。この検査により、最近では小さながんや早期のがんが数多く発見できるようになりました。超音波検査で胆嚢がよく見えない時や胆嚢に何らかの異常が疑われれば、次の検査としてCTやMRIが行われます。これにより、胆嚢がんの確認およびがんの周囲への進行状況や、他の臓器への転移の有無などが確認されます。次に、内視鏡を用いて十二指腸への胆道の出口から細い管を胆管に挿入して、直接胆道を造影する内視鏡的逆行性胆管造影(ERC)と呼ばれる検査があります。さらに、手術を予定している場合には血管造影が行われ、胆嚢がんの肝動脈や門脈への拡がりの有無を調べます。


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肝細胞がん【がんに効く食品サプリメント】


1.肝細胞がんとは

肝臓は、成人で800〜1,200gと体内最大の臓器で、ここには多種類の悪性腫瘍が生じます。この悪性腫瘍は、原発性肝がん(肝臓から発生したがん)と転移性肝がん(他臓器のがんが肝臓に転移したがん)に大別されます。原発性肝がんは、肝細胞がんと胆管細胞がんが95%を占め、残りの5%には、小児の肝がんである肝細胞芽腫、成人での肝細胞・胆管細胞混合がん、未分化がん、胆管嚢胞腺(たんかんのうほうせん)がん、カルチノイド腫瘍などのごくまれながんが含まれます。成人では、肝臓がんの大部分(90%)は肝細胞がんです。

年齢別にみた肝臓がんの罹患(りかん)率は、男性では45歳から増加し始め、70歳代に横ばいとなり、女性では55歳から増加し始めます。年齢別にみた死亡率も同様な傾向にあります。

罹患率、死亡率は男性のほうが高く、女性の約3倍です。罹患数と死亡数とに大きな差はなく、これは、肝臓がん罹患者の生存率が低いことと関連しています。

肝臓がん罹患率と死亡率の年次推移を生まれた年代別に見ると、男女とも1935年前後に生まれた人で高くなっています。これは、1935年前後に生まれた人が、日本における肝臓がんの主要因であるC型肝炎ウィルス(HCV)の抗体陽性者の割合が高いことと関連しています。

罹患率の国際比較では、日本を含む東アジア地域が高く、アメリカの東アジア系移民の中では、日系移民が最も低くなっています。

日本国内の死亡率の年次推移は、男女とも最近減少傾向にあり、罹患率は男性で減少、女性で横ばい傾向にあります。死亡率の国内の地域比較では、東日本より西日本のほうが高い傾向にあります。

ここからは、我が国での肝臓がんの大部分を占める肝細胞がんについて解説し、肝細胞がんを単に肝がんと表記します。


2.肝がんと肝炎ウイルス

肝がんは、肺がんや子宮頸がんと並び、主要な発生要因が明らかになっているがんの1つです。最も重要なのは、肝炎ウイルスの持続感染です。ウイルスの持続感染によって、肝細胞で長期にわたって炎症と再生がくり返されるうちに、遺伝子の突然変異が積み重なり、肝がんへの進展に重要な役割を果たしていると考えられています。肝炎ウイルスにはA、B、C、D、Eなどさまざまな肝炎ウイルスが存在しています。肝がんと関係があるのは主にB、Cの2種類です。

世界中の肝がんの約75%は、B型肝炎ウイルス(HBV)およびC型肝炎ウイルス(HCV)の持続感染によるものです。日本では、肝細胞がんの80%がHCV、15%がHBVの持続感染に起因すると試算されています。このため、日本の肝がんの予防としては、肝炎ウイルス感染予防と、肝炎ウイルスの持続感染者に対する肝がん発生予防が柱となります。

肝がんは、B型、C型肝炎ウイルスが正常肝細胞に作用して突然変異を起こさせて発生するものと推定されています。したがって、B型、C型肝炎ウイルスに感染した人は、肝がんになりやすい「肝がんの高危険群」と言われています。

肝炎ウイルスに感染すると多くは「肝炎」という病気になります。その症状としては、全身倦怠(けんたい)感、食欲不振、尿の濃染(尿の色が紅茶のように濃くなる)、さらには黄疸などがあります。しかし、自覚的には何の兆候もなく、自然に治癒することもあります。また、肝炎ウイルスが身体に侵入しても、「肝炎」という病気にならず、健康な人体と共存共栄し、「ヒトは何らの身体的被害を受けず、肝炎ウイルスもヒトの身体から駆逐されず体内にとどまる」という状況もあります。このように、体内に肝炎ウイルスを持っていても健康な人のことを肝炎の「キャリア」といいます。肝炎ウイルスの感染経路としては次のようなものがあります。

1)妊娠・分娩による感染
妊娠・分娩を介して「肝炎ウイルスを持った母親」から子供へという感染経路があり、これを垂直感染といいます。この垂直感染は、主にB型肝炎に多く認められ、同一家族・家系に何人もの肝炎ウイルス感染者が存在することがあり、これを肝炎の「家族集積」といいます。現在では、B型、C型の肝炎ウイルスは検出可能で、妊娠中の母親は血液検査で肝炎ウイルスの有無が必ず調べられます。母親がB型ウイルスの保菌者と判明すると、垂直感染を防止するために、新生児には直ちにワクチン治療が行われ、B型肝炎の発病を防止する措置がとられています。

2)血液製剤の注射による感染
肝炎ウイルスを含んだ血液の輸血を受けると、輸血を受けた人の身体に肝炎ウイルスが侵入してしまいます。輸血が必要な場合は、病気・けがなどで身体の抵抗力が低下していることが多く、肝炎が高率に発症します。「輸血」にはいろいろな製剤がありますが、血液中の赤血球・血小板だけでなく、上澄み部分(血漿)などの「ある成分」だけを注射しても、肝炎ウイルスに感染する可能性があります。現在は、輸血に用いる血液はすべて厳重な品質管理が行われており、特にB型、C型についてはウイルスの有無を検査して、ウイルスの存在する血液は輸血には使わないという体制が確立しています。そのため、現在では輸血による肝炎は激減しています。ただし、B型にもC型にも検査で見つけられない場合がわずかながらあることも事実で、輸血による肝炎が完全にゼロになったわけではありません。輸血は生命を救う唯一の治療である場合も多々ありますので、輸血をしなければならないこともありますが、「どうしても必要な輸血」以外は慎むべきですし、この考え方は広く医師に定着してきています。

3)性行為による感染
性行為もウイルス感染の経路となる可能性があります。しかし、B型肝炎やC型肝炎の夫婦間感染率は低く、通常の性行為では感染する危険性は低いことが報告されています。ただし、B型肝炎にはHBe抗原が陽性の場合は感染力が強いので、専門医に相談することをお勧めします。

4)針刺し行為による感染
これは、医師・看護師などの医療従事者が、採血時や検査・処置・手術中などに肝炎ウイルスを持つ人の血液がついた針を誤って自分の皮膚に刺すなどの針刺し事故や、集団予防接種での針の再利用、入れ墨・針灸治療などに使った針の使いまわし、麻薬注射のまわし打ちなどで起こる感染のことです。事実、入れ墨を入れた方や、麻薬常習者では肝炎ウイルス感染が高率に認められています。しかし、集団予防接種での感染の問題は、現在では使い捨て注射針を用いていますので、心配ありません。

以上、肝炎ウイルスの感染ルートについて、現在わかっているものについて解説しました。しかし、1.〜4.の感染ルートのどれにも思いあたるものがないという場合も多く、「このルートだ」と断定することは必ずしも容易ではありません。1.〜4.以外の未知の感染ルートがあるかもしれません。したがって、肝炎ウイルスの感染は個人の意識・知識によりある程度予防できますが、防止できない部分があることも事実です。肝炎ウイルスに感染してしまったら、即、肝がんになり、生命が脅かされるわけではありませんが、「肝がんの高危険群」と考えて対処すべきです。

肝炎ウイルスに感染していることが判明するのは、1)身体に変調をきたし、医師を受診してウイルス性肝炎と診断される、2)職場や居住地域の健康診断の血液検査で発見される、3)献血をした際に血液が輸血に適するか否かの検査で後日連絡を受ける、4)他の病気で医師を受診して手術や検査を受ける必要が生じた際の血液検査で判明するなどの場合があります。また、家族の一員が肝炎ウイルスに感染していることが判明すると、医師は「家族集積」性を考慮して家族の他のメンバーの血液検査も勧めます。

肝炎ウイルスに感染していることが判明したら、次には「キャリア」であるのか「肝炎」という病気になっているのかを調べる血液検査が必要です。しかし、ともに肝がんにかかりやすい候補者と心得るべきで、「肝がんの高危険群」といいます。

高危険群の人に肝がんを発生させないような予防法についても、研究が進んでいる途上です。現段階では、C型肝炎に対して期待されている治療は、インターフェロンによる治療です。インターフェロン治療により発癌のリスクを軽減できたとの報告も幾つかあります。また、最近ではペグインターフェロンという新しいインターフェロンやリバビリンというインターフェロンの効果を高める内服薬も登場し、従来より治療効果が高まっており期待されています。また、B型肝炎に関しては、内服の抗ウイルス薬であるラミブジンが発癌までの期間や肝硬変への進展を抑制したとの報告もあります。しかし、いずれもまだ十分な決め手となっていないのが現状です。ですから、高危険群者は肝がんにかかっても手遅れにならないうちに早期発見・治療することが必要です。

感染以外の肝がんのリスク要因としては、大量飲酒と喫煙、さらに食事に混入するカビ毒のアフラトキシンが確実とされています。ほかに、糖尿病患者でリスクが高いことや、コーヒー飲用者でリスクが低いことを示す研究結果があり、その確認が今後の課題となっています。

また、タイ北東部などで高率に発生する胆管細胞がん(肝内胆管がん)については、淡水魚の生食習慣が感染源であるタイ肝吸虫(Opisthorchis viverrini)や、その他の肝吸虫の持続感染が発生要因として知られています。


3.症状

肝がんに特有の症状は少なく、肝炎・肝硬変などによる肝臓の障害としての症状が主なものです。わが国の肝がんは、肝炎ウイルスの感染にはじまることが大部分であり、肝炎・肝硬変と同時に存在することが普通です。肝炎・肝硬変のために医師の診察を受ける機会があり、肝がんが発見されるというケースが多くみられます。肝炎・肝硬変の症状といえば、食欲不振、全身倦怠感、腹部膨満感、便秘・下痢など便通異常、尿の濃染、黄疸、吐下血、突然の腹痛、貧血症状(めまい・冷や汗・脱力感・頻脈など)が挙げられます。肝がんの症状といえば、肝臓の部位に「しこり」や痛みを感ずることです。また、突然の腹痛、貧血症状は、肝がんが破裂・出血したときに認められる症状です。しかし、これらの症状は、他の臓器の病気でもみられますので肝がんに特有とはいえません。また、肝がんから、このような症状が出現した場合は、かなり進行した段階といわざるを得ません。


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腎細胞がん【がんに効く食品サプリメント】


1.腎細胞がんとは

腎臓は、ちょうど肋骨の下端の高さで、左右、両方にソラマメのようなかたちをした長さ10cm×5cm、幅3cm程度の臓器で、血液をこして尿を生成しています。また、血圧のコントロールに関するホルモンや造血に関するホルモンを産生しています。

腎臓に発生する腫瘍には、成人に発生する腎細胞がんと小児に発生するウィルムス腫瘍があります。さらにまれな腫瘍として肉腫があります。腎臓には良性の腫瘍が発生することもあります。一番頻度が高いのは、腎血管筋脂肪腫です。通常、放置して構わないのですが、10cm以上の大きさになると出血する危険があり、治療の対象となります。ここでは、成人に発生する腎細胞がん(以下「腎がん」と呼びます)の解説をします。

年齢別にみた腎がんの罹患(りかん)率は、50歳から70歳まで増加します。腎がんによる死亡は、腎臓全体(腎細胞・腎盂(じんう))のがんによる死亡の約8割を占めます。死亡率は男性のほうが女性よりも高く、女性の約3倍です。罹患率の国際比較では、日本はイギリスを除いた欧米諸国よりも低い傾向があります。

腎細胞がんの確立されたリスク要因は、喫煙と肥満(特に女性の肥満)とされています。その他、利尿剤服用(特に女性)、フェナセチン含有鎮痛剤が、リスク要因の候補に挙げられています。他に、膀胱(ぼうこう)がんほど強い関連ではありませんが、アスベストやドライクリーニング従事者によるテトラクロロエチレン曝露(ばくろ)など、職業性曝露が可能性のあるリスク要因として指摘されています。基礎疾患としては、von Hippel-Lindau病や、結節硬化症、多発性嚢胞(のうほう)腎がリスク要因とされています。

腎がんは発生しやすい家系のあることが知られています。遺伝子の解析も進み、その家系におこっている遺伝子異常が同定でき、発病前から将来、腎がんにかかることが予測できるまでになっています。腎がんの遺伝子解析は進んできましたが、家系内発生を予測できることを除いてはまだ研究が行われている段階です。


2.症状

このがんは、大きくなるとさまざまな症状がみられますが、腫瘍の最大径が5cm以下で、何らかの症状があることはまれです。近年、超音波検査やCTなどの普及により、小さな腎がんが見つかるようになり、症状のない場合が増加しています。

このがんは、大きくなるとさまざまな症状がみられますが、腫瘍の最大径が5cm以下で、何らかの症状があることはまれです。近年、超音波検査やCTなどの普及により、小さな腎がんが見つかるようになり、症状のない場合が増加しています。

サイズの大きい腫瘍では、血尿、腹部腫瘤(しゅりゅう)、疼痛などがみられます。また、全身的症状として発熱、体重減少、貧血などをきたすことがあります。まれに、腎がんが産生する物質によって、赤血球増多症や高血圧、高カルシウム血症などが引きおこされることがあります。このがんは、もともと静脈内に進展しやすいのですが、静脈内への腫瘍の進展によって、下大静脈という腹部で一番大きな静脈が閉塞すると、血液が他の静脈を通って心臓に戻るため、腹部体表の静脈が目立ったり、陰嚢内の静脈が目立つ(精巣静脈瘤)現象がおこることがあります。腎がんで発熱や体重減少など全身的な症状を伴っている場合、進行がはやいといわれています。検診などで症状のない腎がんが発見される機会が増えているのですが、腎がんの約2割は、肺や骨に転移した腫瘍がまず発見され、いろいろ調べているうちに腎臓に原発のがんが見つかり、腎がんの肺や骨転移と診断されることがあります。肺に転移が存在しても自覚症状はあまりありません。


3.診断

超音波検査は簡便で、スクリーニング検査としては非常に診断学的価値のある検査です。腎嚢胞(じんのうほう:腎臓に水のたまる袋ができるもの)や良性疾患である腎血管筋脂肪腫などの鑑別にも有用です。さらにCT検査が施行されます。この検査によって、腎の腫瘍性病変の鑑別診断が可能です。また、静脈内の腫瘍塞栓の有無やリンパ節転移の有無などが診断できます。胸部X線写真や肺CTにより肺転移の有無を検索します。また、骨転移の有無を確認するため、骨シンチが施行されます。血管造影検査も重要な検査ですが、侵襲(しんしゅう:身体的負担)が大きいこと、質の高いCT検査を施行すれば血管造影検査とほぼ同様の情報が得られることなどにより、近年、施行される機会は少なくなっています。


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食道がん【がんに効く食品サプリメント】


1.食道がんとは

1)食道の構造と機能
食道は、のど(咽頭)と胃の間をつなぐ長さ25cmぐらい、太さ2〜3cm、厚さ4mmの管状の臓器です。食道の大部分は胸の中、一部は首(約5cm、咽頭の真下)、一部は腹部(約2cm、横隔膜の真下)にあります。食道は身体の中心部にあり、胸の上部では気管と背骨の間にあり、下部では心臓、大動脈と肺に囲まれています。

食道の壁は外に向かって粘膜、粘膜下層、固有筋層、外膜の4つの層に分かれています。食道の内側は食べ物が通りやすいように粘液を分泌するなめらかな粘膜でおおわれています。粘膜の下には筋層との間に血管やリンパ管が豊富な粘膜下層があります。食道の壁の中心は食道の動きを担当する筋肉の層です。筋層の外側の外膜は周囲臓器との間を埋める結合組織で、膜状ではありません。


食道は、口から食べた食物を胃に送る働きをしています。食物を飲み込むと重力で下に流れるとともに、筋肉でできた食道の壁が動いて食べ物を胃に送り込みます。食道の出口には、胃内の食物の逆流を防止する機構があります。これらは食道を支配する神経と自身の筋肉の連関により働くしくみとなっています。食道には消化機能はなく、食物の通り道にすぎません。


2)食道がんの発生部位と細胞
日本人の食道がんは、約半数が胸の中の食道の真ん中から、次に1/4が食道の下1/3に発生します。食道がんは食道の内面をおおっている粘膜の表面にある上皮から発生します。食道の上皮は扁平上皮でできているので、食道がんの90%以上が扁平上皮癌です。

欧米では胃がんと同じ腺上皮から発生する腺癌が増加しており、現在では半数以上が腺癌です。腺癌のほとんどは胃の近くの食道下部に発生します。生活習慣、食生活の欧米化により、今後はわが国でも腺癌の増加が予想されます。扁平上皮癌と腺癌は性格が異なるので資料を参考とする時には注意が必要です。

頻度はまれですが、食道にはそのほかの特殊な細胞でできたがんもできます。未分化細胞癌、癌肉腫、悪性黒色腫などのほかに、粘膜ではなく筋層などの細胞から発生する消化管間質腫瘍も発生することがあります。

3)食道がんの進行
食道の内面をおおっている粘膜から発生したがんは、大きくなると粘膜下層に広がり、さらにその下の筋層に入り込みます。もっと大きくなると食道の壁を貫いて食道の外まで広がっていきます。食道の周囲には気管・気管支や肺、大動脈、心臓など重要な臓器が近接しているので、がんが進行しさらに大きくなるとこれら周囲臓器へ広がります。

食道の壁の中と周囲にはリンパ管や血管が豊富です。がんはリンパ液や血液の流れに入り込んで食道を離れ、食道とは別のところに流れ着いてそこで増えはじめます。これを転移といいます。リンパの流れで転移したがんは、リンパ節にたどり着いてかたまりをつくります。食道のまわりのリンパ節だけではなく、腹部や首のリンパ節に転移することもあります。血液の流れに入り込んだがんは、肝臓、肺、骨などに転移します。

4)食道がんの統計
年齢別にみた食道がんの罹患(りかん)率、死亡率は、ともに40歳代後半以降増加し始め、特に男性は女性に比べて急激に増加します。

罹患率、死亡率ともに男性のほうが高く、女性の5倍以上です。死亡率の年次推移は、男性では戦後大きな増減はなく近年は漸減傾向、女性では1960年代後半から80年代後半まで急激に減少し近年は漸減傾向にあります。一方、罹患率は、男性では1975年以降増加傾向、女性では1975年以降80年代後半まで減少傾向にあり、その後はっきりとした増減の傾向は見られません。

罹患率の国際比較では、日本人は他の東アジアの国の人や、アメリカの日本人移民に比べて高い傾向があります。

5)食道がんの発生要因
食道がんについては、喫煙と飲酒が確立したリスク要因とされています。特に扁平(へんぺい)上皮がんではその関連が強いことがわかっています。また、喫煙と飲酒が相乗的に作用してリスクが高くなることも指摘されています。

食道がんが多く見られる南ブラジルやウルグアイでは、熱いマテ茶を飲む習慣があります。中国や日本、香港からも、熱い飲食物が食道粘膜の炎症を通して、食道がんのリスクを上げることを示す研究結果が多く報告されています。熱いものを飲んだり食べたりする食習慣が、おそらく確実なリスク要因でしょう。近年、欧米で急増している腺がんについては、胃・食道逆流症に加えて、肥満で確実にリスクが高くなるとされています。予防要因では、野菜・果物の摂取がおそらく確実とされています。

食道がんにかかる方は咽頭(のど)や口、喉頭などにもがんができやすいですし、咽頭や口、喉頭などのがんにかかられた方は食道にもがんができやすいことがわかってきました。


2.症状

1)無症状
健康診断や人間ドックの時に、内視鏡検査などで発見される無症状の食道がんも20%近くあります。無症状で発見された食道がんは早期のがんであることが多く、最も治る確率が高いがんです。

2)食道がしみる感じ
食べ物を飲み込んだときに胸の奥がチクチク痛んだり、熱いものを飲み込んだときにしみるように感じるといった症状は、がんの初期のころにみられるので、早期発見のために注意してほしい症状です。軽く考えないで内視鏡検査を受けることをお勧めします。

がんが少し大きくなると、このような感覚を感じなくなります。症状がなくなるので気にしなくなり、放っておかれてしまうことも少なくありません。

3)食物がつかえる感じ
がんがさらに大きくなると食道の内側が狭くなり、食べ物がつかえて気がつくことになります。特にまる飲みしやすい食物(かたい肉、すしなど)を食べた時、あるいはよくかまずに食べた時に突然生ずることが多い症状です。このような状態になってもやわらかいものは食べられるので、食事は続けられます。また、胸の中の食道が狭いのにもっと上ののどがつかえるように感じることがあります。のどの検査で異常が見つからない時は食道も検査しましょう。

がんがさらに大きくなると食道を塞いで水も通らなくなり、唾液も飲み込めずにもどすようになります。

4)体重減少
一般に進行したがんではよくみられる症状ですが、食べ物がつかえると食事量が減り、低栄養となり体重が減少します。3ヶ月間に5〜6kgの体重が減少したら注意して下さい。

5)胸痛・背部痛
がんが食道の壁を貫いて外に出て、まわりの肺や背骨、大動脈を圧迫するようになると、胸の奥や背中に痛みを感じるようになります。これらの症状は他の病気でもみられますが、肺や心臓の検査だけでなく食道も検査してもらうよう医師に相談して下さい。

6)咳
食道がんがかなり進行して気管、気管支、肺へおよぶと、むせるような咳(特に飲食物を摂取する時)が出たり血のまじった痰が出るようになります。

7)声のかすれ
食道のすぐわきに声を調節している神経があり、これががんで壊されると声がかすれます。声に変化があると耳鼻咽喉科を受診する場合が多いのですが、喉頭そのものには腫瘍や炎症はないとして見すごされることもあります。声帯の動きだけが悪い時は、食道がんも疑って食道の内視鏡、レントゲン検査をすることをお勧めします。


3.診断
食道がんの診断方法には、一般にX線(レントゲン線)による食道造影検査と内視鏡検査があります。その他、がんの拡がりぐあいを見るためにCT、MRI検査、内視鏡超音波検査、超音波検査などを行います。がんの進行程度を正確に診断することは、治療法を選択する上で非常に重要なことです。

1)食道造影検査(レントゲン検査)
バリウムを飲んで、それが食道を通過するところをレントゲンで撮影する検査です。内視鏡検査が普及した今日でも、造影検査は苦痛を伴わず検診として有用です。造影検査では、がんの場所やその大きさ、食道内腔の狭さなど全体像が見られます。

日本人は胃がんが多いので、通常の検診では胃に重点がおかれ、食道は十分に観察されないことがあります。症状があれば検査前にはっきりと伝えておきましょう。

2)内視鏡検査
内視鏡検査は先端にCCD(固体撮影素子)を搭載した内視鏡(ビデオスコープ)用いて、直接、消化管粘膜を観察する方法です。内視鏡検査は病変を直接観察できることが大きな特徴です。病変の位置や大きさだけでなく、病変の数、病巣の拡がりや表面の形状(隆起(りゅうき)や陥凹(かんおう))、色調などから、病巣の数や、ある程度のがんの進展の深さを判断することができます。食道の内視鏡精密検査では、通常の観察に加えて色素内視鏡を行います。正常な粘膜上皮細胞がヨウ素液(一般にルゴールといいます)に染まるのに対し、がんなどの異常のある部分は染まらないでんぷん反応を利用した方法です。

もう1つの内視鏡検査の大きなメリットは、直接組織を採取し(組織生検)、顕微鏡でがん細胞の有無をチェックすることができ、病変の診断に役立つことです。

無症状あるいは初期の食道がんを見つけるために内視鏡検査は極めて有用な検査であり、たとえレントゲン検査で異常が認められなくとも内視鏡検査で発見されることもあります。

3)CT・MRI検査
CT(コンピューター断層撮影)はコンピューターで処理することで身体の内部を輪切りにしたように見ることができるX線検査です。食道の周囲には先に述べたように気管、気管支、大動脈および心臓など極めて重要な臓器が存在しています。

CT検査は、がんとこれらの周囲臓器との関係を調べるためには最も優れた診断法といえます。リンパ節転移の存在も頸部、胸部、腹部の3領域にわたって検索ができます。さらに肺、肝臓などの転移の診断にも欠かせません。進行したがんにおいては進行度を判定するために最も重要な検査です。

MRI検査はCTとほぼ同等の診断能力がありますが、リンパ節をはじめとして描出能の点でCTをしのぐものではありません。

4)超音波内視鏡検査
食道上皮から発生したがんは次第に粘膜下層、筋層へと拡がり、周囲の臓器へ拡がっていきます。がんがより深く進展しているほど、リンパ節転移の確率が高いことが明らかとなり、また、食道は狭い空間に気管や肺静脈などと隣接しているため、気管あるいは気管支などの周囲の臓器へ直接がんが喰い込むことがあります。超音波内視鏡は、外見上は内視鏡と変わりないのですが、食道内壁の表面を観察する内視鏡検査と異なり、内視鏡の先端についた超音波装置を用いて粘膜下の状態、食道壁そのものや食道壁外の構造などを観察することができます。つまり、食道がんがどのくらい深く進展しているか、周りの臓器へ喰い込んでいないか、食道の外側にあるリンパ節が腫れていないか(リンパ節転移の有無)などについてのより詳細な情報を得ることができます。これは、治療方針の決定に非常に重要な役割を果たします。ただし、がんのために食道内腔が狭くなっている(狭窄)例では、内視鏡ががんの中心部まで到達できないため、正確な診断ができない場合もあります。

5)超音波検査
体外式(体表から観察する)の超音波検査は腹部と頸部について行います。腹部では肝臓への転移や腹部リンパ節転移の有無などを検索し、頸部では頸部リンパ節転移を検索します。頸部食道がんの場合は、主病巣と気管、甲状腺、頸動脈などの周囲臓器との関係を調べるため行います。

6)PET検査
PET検査(陽電子放射断層撮影検査)は、全身の悪性腫瘍細胞を検出する検査です。悪性腫瘍細胞は正常細胞よりも活発に増殖するため、そのエネルギーとしてブドウ等を多く取り込みます。PET検査では、放射性ブドウ糖を注射しその取り込みの分布を撮影することで悪性腫瘍細胞を検出します。食道がんでも進行度診断での有効性が報告されています。

7)腫瘍マーカー
(腫瘍マーカーの説明はリンクで)食道がんの腫瘍マーカーは、扁平上皮癌ではSCC(扁平上皮癌関連抗原)とCEA(癌胎児性抗原)です。腺癌ではCEA(癌胎児性抗原)です。他のがんにおける場合と同様に、腫瘍マーカーは進行した悪性腫瘍の動態を把握するのに使われているのが現状であり、早期診断に使えるという意味で確立されたものは残念ながらまだありません。


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国立がんセンターがん対策情報センターより一部転載

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胃がんの初期症状

1.胃がんとは

人間が食物を食べると、のどから食道を通って胃に入ります。食道は単なる食物の通り道にすぎませんが、胃は胃袋ともいわれ、食物をしばらくの間とどめ、コンクリートミキサー車のように胃液と撹拌(かくはん)し、適量ずつ十二指腸へ送り出します。胃は、食道からの入口部分である噴門部(ふんもんぶ)、胃の中心部分である体部、十二指腸側への出口部分の幽門部(ゆうもんぶ)に大きく分けられます。胃の入口付近の胃体部と呼ばれる部分は胃酸や内因子を分泌し、胃の出口に近い部分は食物を送り出すポンプの役割をしています。出口に近い幽門前庭部は胃液の分泌を調節するガストリンというホルモンを出しています。また、胃の壁は5つの層に分かれており、最内層が胃液や粘液を分泌する粘膜、中心が胃の動きを担当する筋肉、最外層は臓器全体を包む薄い膜で漿膜(しょうまく)と呼ばれています。


■胃の機能と構造
胃液はほとんどが塩酸で、消化酵素はわずかしか含まれていません。胃液の役割は、pH1〜2といった強い酸による殺菌と、わずかなタンパク質の変性効果、そして主として食物をどろどろの粥状(かゆじょう)にすることです。栄養の消化吸収は主に十二指腸以下の小腸の役割です。食物によって胃内にとどまる時間は異なるようですが、粥状になった胃内容は適量ずつ十二指腸に送り出され、効率のよい消化吸収が行われ、食後数時間から半日くらいは食事をする必要がないようにできています。また、体にとって欠かせないビタミンB12の吸収に必要なキャッスル内因子と呼ばれる物質は胃でのみ分泌されます。

胃がんは、胃の壁の最も内側にある粘膜内の細胞が、何らかの原因でがん細胞になって無秩序に増殖を繰り返すがんです。胃がん検診などで見つけられる大きさになるまでには、何年もかかるといわれています。大きくなるに従ってがん細胞は胃の壁の中に入り込み、外側にある漿膜やさらにその外側まで広がり、近くにある大腸や膵臓にも広がっていきます。がんがこのように広がることを浸潤といいます。


2.胃がんの発生と進行について

胃がんは、粘膜内の分泌細胞や、分泌物を胃の中に導く導管の細胞から発生します。はじめは30〜60ミクロンの大きさから出発し、年単位の時間がかかって5mm程度の大きさになるころから発見可能になります。粘膜内を横に広がっているうちはよいのですが、胃壁の外に向かって粘膜下層、固有筋層、漿膜下層、漿膜へと徐々に深く浸潤(しんじゅん)しはじめると、それに伴って転移しやすくなり、予後(治療による今後の見通し)が悪くなってきます。このがんの外方向への進展は深達度(しんたつど)と呼ばれています。がんの種類によって、胃の内腔へも突出するような成長を示すものと、主に水平方向に浸潤していくものがあります。後者の場合、まだ胃がんの初期症状の時に、その部分に潰瘍を合併することがしばしばあります。これはがんの部分が胃液でただれやすいためと考えられており、消化性潰瘍とまったく同様の症状を起こすため、早期発見の大事な徴候となります。

がん細胞は、リンパ液や血液の流れに乗って他の場所に移動し、そこで増殖することもあります。これを転移といいます。最も多い胃がんの転移は、「リンパ節転移」で、リンパの関所のような「リンパ節」で増殖します。これは、初期症状でも起こることがあります。また、進行がんの一部では、腹膜や肝臓にも転移がみられます。
特殊な胃がんとして、胃壁の中で広がって粘膜の表面には現れない「スキルス胃がん」があります。診断がついた時点で60%の患者さんに転移がみられます。
胃がんは進行の程度にかかわらず、症状が全くない場合もあります。逆に早い段階から胃痛、胸焼け、黒い便がみられることもあります。これらの症状は胃炎や胃潰瘍などにもみられる症状です。定期的な検診を受けることはもちろん、症状が続くときには早めに受診することが、胃がんの早期発見につながります。
診断や治療の進歩により、胃がんは治りやすいがんの1つといわれています。胃がんの治療は、胃がんの大きさや広がりなどによって細かく決められていますが、進行した状況で発見された場合、治療が難しいこともあります。
胃がんにかかる人の傾向は40歳以降に顕著になります。胃がんにかかる人の数は高齢化のために全体数は横ばいですが、一昔前の同年代の人々と比べると、男女とも大きく減ってきています。がんで亡くなった人の数では、2004年時点で男性は第2位、女性は第1位となっていますが、統計的にみると死亡率は減少してきています。


3.胃がんの統計について

胃がんの罹患(りかん)率と死亡率は男性のほうが女性より高く、年齢別にみると40歳未満では男女差は小さく、40歳以降にその差が開きます。
日本の胃がん死亡率の年次推移は、1960年代から男女とも大幅な減少傾向にありますが、2004年にがんで亡くなった人の数では、胃がんは男性で第2位、女性で第1位となっています。
2000年の罹患数は死亡数の約2倍です。罹患率も減少傾向にありますが、死亡率に比べて減少の度合いは緩やかです。
罹患率の国際比較では、東アジア(中国、日本、韓国など)で高く、欧米など白人では低くなっています。また、アメリカでは、日系、韓国系、中国系移民の罹患率が白人より高くなっていますが、それぞれの本国在住者よりは低い傾向にあります。一方日本国内では、東北地方の日本海側で高く、南九州、沖縄で低い「東高西低」型を示しています。


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乳がんの初期症状

1.乳がんとは

大人の女性の乳房は、乳頭を中心に乳腺が放射状に15〜20個並んでいます。それぞれの乳腺は小葉に分かれ、小葉は乳管という管でつながっています。乳がんの約90%はこの乳管から発生し、乳管がんと呼ばれます。小葉から発生する乳がんが約5〜10%あり、小葉がんと呼ばれます。乳管がん、小葉がんは、乳がん組織を顕微鏡で検査(病理学的検査)すると区別できます。この他に特殊な型の乳がんがありますが、あまり多いものではありません。

年齢別にみた女性の乳がんの罹患(りかん)率は30歳代から増加し始め、50歳前後にピークを迎え、その後は次第に減少します。女性では、乳がんにかかる数は乳がんで死亡する人の数の3倍以上です。これは、女性の乳がんの生存率が比較的高いことと関連しています。男性の乳がんは、年間の死亡数で女性の乳がんの100分の1以下の稀ながんですが、女性の乳がんに比べて生存率が低い(予後が悪い)ことが知られています。

年次推移は、罹患率、死亡率ともに一貫して増加しており、出生年代別では、最近生まれた人ほど罹患率、死亡率が高い傾向があります。

罹患率の国際比較では、東アジアよりも欧米、特に米国白人が高く、アメリカの日本人移民は日本国内在住者より高い傾向があります。

乳がんの発生・増殖には、性ホルモンであるエストロゲンが重要な働きをしています。これまでに確立されたリスク要因の中には、体内のエストロゲン・レベルに影響を与えるようなものがほとんどです。実際に体内のエストロゲン・レベルが高いこと、また、体外からのホルモンとして、経口避妊薬の使用や閉経後のホルモン補充療法によって乳がんのリスクが高くなるという根拠は、十分とされています。

生理・生殖要因としては、初経年齢が早い、閉経年齢が遅い、出産歴がない、初産年齢が遅い、授乳歴がないことがリスク要因とされています。また、体格では高身長、閉経後の肥満、が確立したリスク要因ですが、閉経前乳がんについては、逆に肥満者でリスクが低くなることが指摘されています。

飲酒習慣により、乳がんリスクが高くなることは確実、また、運動による乳がん予防効果はおそらく確実とされています。その他の食事・栄養素に関しては、脂質、野菜・果物、食物繊維、イソフラボンなどが注目されているものの、十分に根拠が揃っているものはまだありません。

その他、一親等の乳がん家族歴、良性乳腺疾患の既往、マンモグラフィ上の高密度所見、電離放射線曝露も、乳がんの確立したリスク要因とされています。

乳がんの場合、がん細胞は比較的小さい時期から乳腺組織からこぼれ落ち、リンパや血液の流れに乗って乳腺から離れた臓器(肺、肝臓、骨など)に小さな転移巣をかたちづくると考えられています。これらの微小な転移巣が大きくなると症状が出たり、検査で検出されたりするようになり「遠隔転移」と呼ばれます。例えば、肺に転移した場合は「乳がんの肺転移」と呼び、肺にあってもその性質は乳がんであり、もともと肺から発生する「肺がん」とは異なります。このように遠隔転移を有する乳がんを総称して「転移性乳がん」と呼びます。乳房にがんが見つかった時点ですでに遠隔転移を有する場合と区別して、手術などの初期治療を行ってから発見される場合を「再発乳がん」と呼びます。再発乳がんの中でも、手術をした部分だけに再発することを「局所再発」と呼びます。また、がんが皮膚や胸壁におよんでいるためそのままでは手術ができない乳がんは「局所進行乳がん」と呼びます。

遠隔転移のない手術が可能な乳がんの場合、全身にこぼれ落ちている可能性のある微小転移に対して全身治療、すなわち薬による治療を行うことによって、再発を予防することができます。このような薬の治療を「術後薬物療法」と呼びます。最近では薬の治療を手術に先行して行う場合もあり、これを「術前薬物療法」と呼びます。薬の治療は再発のリスクの大きさや年齢によって選択されます。乳がんの再発リスクを予測する尺度にはしこりの大きさや、わきの下のリンパ節(腋窩リンパ節)への転移の個数、ホルモン受容体の有無などがあります。再発のリスクがある場合にはリスクや年齢に応じて放射線などの局所療法に加え、全身治療として薬物療法を行うことが推奨されます。


2.初期症状

1)乳房のしこり
乳がんは5mmぐらいから1cmぐらいの大きさになると、自分で注意深く触るとわかるしこりになります。しかし、しこりがあるからといってすべてが乳がんであるというわけではありません。

2)乳房のえくぼなど皮膚の変化
乳がんが乳房の皮膚の近くに達すると、えくぼのようなくぼみができたり、皮膚が赤くはれたりします。乳房のしこりが明らかではなく、乳房表面の皮膚がオレンジの皮のように赤くなり、痛みや熱感を伴う場合、「炎症性乳がん」と呼びます。炎症性乳がんがこのような外観を呈するのは、乳がん細胞が皮膚のリンパ管の中に詰まっているためであり、それだけ炎症性乳がんは全身的な転移をきたしやすい病態です。

3)乳房の近傍のリンパ節のはれ
乳がんは乳房の近傍にあるリンパ節、すなわちわきの下のリンパ節(腋窩リンパ節)、胸骨のそばのリンパ節(内胸リンパ節)や鎖骨の上下のリンパ節(鎖骨上リンパ節、鎖骨下リンパ節)に転移をきたしやすく、これらのリンパ節を「領域リンパ節」と呼びます。領域リンパ節が大きくなってくるとリンパ液の流れがせき止められて腕がむくんできたり、腕に向かう神経を圧迫して腕のしびれをきたしたりすることがあります。

4)遠隔転移の症状
転移した臓器によって症状は違いますし、症状が全くないこともあります。領域リンパ節以外のリンパ節がはれている場合は、遠隔リンパ節転移といい、他臓器への転移と同様に扱われます。腰、背中、肩の痛みなどが持続する場合は骨転移が疑われ、荷重がかかる部位にできた場合には骨折をおこす危険もあります(病的骨折)。肺転移の場合は咳が出たり、息が苦しくなることがあります。肝臓の転移は症状が出にくいですが、肝臓が大きくなると腹部が張ったり、食欲がなくなることもあり、痛みや黄疸が出ることもあります。


3.診断

1)レントゲン撮影(マンモグラフィー)
マンモグラフィーは乳房を装置に挟んで圧迫しX線撮影する検査です。初期症状の触診では見つからないような小さながんが見つかることがあります。定期検診として45〜50歳以上の女性に対して、年1回のマンモグラフィー検査を実施している市町村もあります。

2)乳腺のその他の画像検査
しこりががんであるかどうかや病変の拡がりを診断するために、乳腺の超音波検査、MRI検査、CT検査なども有用です。

3)穿刺吸引細胞診と針生検
しこりが見つかった場合、しこりに細い注射針を刺して細胞を吸いとって調べる「穿刺吸引細胞診」により、80〜90%の場合ではがんかどうかの診断が確定します。さらに多くの情報を得るために太い針を刺してしこりの一部の組織を採取することもあります(針生検)。触診では明らかなしこりを触れず、画像検査だけで異常が指摘されるような場合には、マンモトーム生検と呼ばれる特殊な針生検を行うこともあります。

4)遠隔転移の検査
乳がんが転移しやすい遠隔臓器として肺、肝臓、骨、リンパ節などがあります。遠隔転移があるかどうかの診断のためには、胸部レントゲン撮影、肝臓のCTや超音波検査、骨のアイソトープ検査(骨シンチグラフィ)などが行われます。


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中皮腫 (ちゅうひしゅ)【がんに効く食品サプリメント】


1.中皮腫とは

胸部の肺あるいは心臓などの臓器や胃腸・肝臓などの腹部臓器は、それぞれ、胸膜・腹膜・心膜などという膜に包まれています。これらの膜の表面をおおっているのが「中皮」で、この中皮から発生した腫瘍を中皮腫といいます。したがって、中皮腫には、その発生部位によって、胸膜中皮腫・腹膜中皮腫・心膜中皮腫などがあります。

また、中皮腫には、悪性のものと良性のものとがあります。悪性のものには限局性(1ヶ所にかたまりを形成するようなもの)とびまん性(広く胸膜や腹膜に沿ってしみ込むように発育するもの)とがあります。良性のものは、すべて限局性です。

胸膜および腹膜中皮腫は、そのほとんどがアスベスト(石綿)の吸引により発生します。アスベスト鉱山労働者やアスベストを扱う労働者に限らず、鉱山や工場周辺の住民、あるいは、労働者の家族にも発生しています。曝露(ばくろ)が多いほど、また曝露歴が長いほど、リスクが高くなります。アスベストに曝露してから、中皮腫が発生するまでの期間が長いのが特徴で、最短で20年前後、平均で約40年程度かかります。アモサイト(茶石綿)やクロシドライト(青石綿)などの、アンフィボール系のアスベストでリスクが高くなりますが、胸膜中皮腫はすべてのアスベストが原因となる一方、腹膜中皮種は、クリソタイル(白石綿)では起こりにくいことが知られています。詳細に調べれば、中皮腫患者のほとんどは過去に何らかのアスベスト曝露歴がありますが、特に女性では、明らかな曝露歴が見当たらない場合もあります。喫煙によって、アスベストによる肺がんリスクは強められますが、中皮腫のリスクが強められることはないものと考えられています。

中皮腫の死亡率は、1995年以降、男性で増加傾向、女性では横ばい状態で、中皮腫で亡くなる人の数は、男性が女性の約3倍、死亡率でも男性が女性の約4倍です(2004年)。中皮腫による死亡は高齢者に多く、中皮腫による死亡全体のなかで、65歳以上の占める割合は男性で約7割、女性で約8割です(2004年)。 欧米諸国の罹患(りかん)の年次推移を見ると、イギリスでは1970年ころから増加傾向が続いていますが、アメリカ、スウェーデン、オーストラリア、ニュージーランドでは、90年代をピークに減少傾向に転じています。

日本のアスベスト輸入量のピークは70年代半ばであり、潜伏期間が平均40年とされていることを考慮すると、今後、日本の中皮腫の罹患および死亡は増加することが予想されます。


2.症状

良性の中皮腫は、他の臓器へ転移したり、周囲の臓器へ浸潤(しんじゅん:がんが周囲へ拡がること)するような進み方をすることはありません。したがって、あまり症状がなく、検診の胸部単純X線写真でたまたま見つかったりすることがあります。しかし、まれには巨大なかたまりとなり、胸痛・咳がおこったり肺や心臓を圧迫して呼吸困難を伴うこともあります。また、腹膜の良性中皮腫もたまたま手術の際に見つかったりします。

一方、悪性の中皮腫は限局性のものもありますが、一般にはびまん性に胸膜あるいは腹膜などに沿って広範に拡がっていきます。胸膜のびまん性悪性中皮腫では、大量の胸水貯留による呼吸困難や胸痛がおこります。胸壁のしこりを触れるようになることもまれにあります。腹膜の悪性中皮腫では腹水貯留による腹部膨満などがおこります。


3.診断

良性の腹膜の中皮腫は、たまたま腹部の手術などで腹部を開けた時に見つかるようなまれなものです。悪性のびまん性腹膜中皮腫は非常にまれであり、腹腔(注1)内に広範に拡がるような悪性腫瘍は、むしろ胃・腸や卵巣などに別のもととなるがんがあって、それが腹腔内に散らばっているような場合がほとんどです。したがって、腹水をとってその性状やその中にいる腫瘍細胞を調べるとともに、これらの他の腹部臓器にがんがないかどうかを調べなければなりません。

良性の胸膜の中皮腫は、胸部単純X線写真や胸部CTで胸の中のしこりとして認められます。身体の外から細い針を刺して組織を採取して、診断がつくこともありますが、手術でやっと診断がつくこともあります。

一方、悪性のびまん性の胸膜中皮腫は、胸部単純X線写真や胸部CTで肺全体を包む込むように拡がった胸膜の肥厚や多数のしこりとして認められ、胸水を多量に伴うこともあります。しかし、肺がんなどの胸膜播種(きょうまくはしゅ:肺がんが胸膜面全体にばらまかれて拡がった状態)との鑑別が難しい場合も多く、胸に針を刺して胸水の中の腫瘍細胞を調べたり、局所麻酔下の生検(組織採取)や胸腔鏡(注2)などで胸膜面の腫瘍を採取してそれらを調べる必要があります。また、病巣の進展範囲を評価するために胸部・腹部CTやMRI、あるいは超音波検査などを行います。

(注1) 腹膜でおおわれたお腹の中の空間のこと
(注2) 胸腔、すなわち胸膜でおおわれた胸の中の空間(左右にあり各々内部に肺が存在しています)に胸壁を通して開けた穴から挿入する内視鏡のこと


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国立がんセンターがん対策情報センターより一部転載
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胸腺腫(きょうせんしゅ)【がんに効く食品サプリメント】

1.胸腺腫とは

胸腺は、縦隔(じゅうかく)と呼ばれる部位にあり、実際には身体のほぼ中央で胸骨の後ろ、心臓の前面にある小さな臓器です。あまりなじみのない臓器ですが、胎児から幼児にかけては身体の免疫をつかさどる重要な働きをもっています。しかし、成人になるとその機能を終えて退化します。胸腺腫は、この退化した胸腺の細胞から発生する腫瘍です。したがって、胸腺腫は自己免疫疾患と呼ばれる免疫機能の異常と関係することもあります。その代表的なものが、全身の筋力が低下する重症筋無力症(じゅうしょうきんむりょくしょう)です。

胸腺腫は、結合組織の被膜でおおわれ、比較的ゆっくりと増殖し転移も極めておこりにくいのですが、進行すると周囲の肺、心臓、大血管へ浸潤(しんじゅん:がんが周囲に拡がること)したり、播腫(はしゅ)といって胸腔へ種をまくように拡がっていきます。極めてまれですが、胸腺腫の中にはかなり悪性度の高いものもみられ、これらは胸腺がんと呼んで区別しています。

胸腺腫の発生は、30歳以上の成人にみられ、男女差はありません。胸腺腫は比較的まれな疾患です。国立がんセンタ−においても、30年間に約100例の切除症例がみられますが、同時期に切除された肺がんが3000例を超えることを考えると、その頻度のおおよその見当がつくと思います。小児での発生はさらにまれです。原因については、明確なものはわかっていません。前に述べた免疫異常と関連した重症筋無力症、赤芽球癆(せきがきゅうろう)、シェーグレン氏病などを合併することが知られています。


2.症状
胸腺腫に伴う症状は、2つに分けて考えることができます。すなわち、腫瘍そのものに起因する症状と、免疫異常などの合併症による症状です。

胸腺は、成人においては機能的に退化した組織であることから、ここに発生する初期の胸腺腫で症状があらわれることはまれです。初期の胸腺腫の多くが、定期検診などで撮られた胸部X線写真の異常で偶然発見されます。胸腺腫による症状は、腫瘍が大きくなって周囲の臓器を圧迫したり、浸潤して破壊するためにおこります。具体的には、胸痛、咳、喀痰(かくたん)、呼吸困難、上半身(特に顔面)、頸部のうっ血、浮腫などです。しかし、これらの症状はかなり進行してはじめてあらわれてくるもので、無症状の場合もかなり多いようです。

一方、合併症によるものとしては、先にも述べた重症筋無力症、赤芽球癆といったものが代表的なものです。重症筋無力症の自覚症状としては、まぶたが下がったり、ものが2つに見える、手足の筋力低下、飲み込むことが困難などがあります。赤芽球癆では、貧血症状がみられます。このような合併症が先にあらわれる場合には、胸腺腫自体は後から全身を精査してはじめて発見されます。


3.診断方法
胸腺腫の多くは、胸部X線写真の異常で発見されています。しかし、胸腺腫の発生する前縦隔という部位は、心臓の前面に位置しており、胸部X線写真では心臓の陰影と重なってしまうため、胸腺腫の存在や拡がりを正確に診断するためには、胸部CT、あるいはMRIが必要です。また、胸腺腫の診断を確定するためには、腫瘍組織の一部を採取して、顕微鏡でその組織を観察する必要があります(病理組織検査)。通常、X線の透視下に皮膚から細い針を刺して、検体を採取します。さらに、胸腺腫が周囲の組織へ浸潤していることが疑われる場合には、血管造影検査や心臓の超音波検査も必要となることがあります。


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国立がんセンターがん対策情報センターより一部転載
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肺がん


1.肺がんとは

1)肺の構造と働き
肺は呼吸器系の重要な臓器であり、心臓、気管、食道などからなる縦隔(じゅうかく)という部分を挟んで胸の中に左右2つあり、左肺、右肺と呼ばれています。右肺は葉と呼ばれる3つの部分からなり(上葉、中葉、下葉)、左肺は右肺よりわずかに小さく上葉と下葉に分かれています。肺は身体の中に酸素を取り入れ、二酸化炭素を排出します。空気は口と鼻から咽頭・喉頭を経て気管を通り、気管支と呼ばれる左右の管に分かれ左右の肺に入ります。気管支は肺の中で細気管支と呼ばれるより細い管に分枝し、木の枝のように肺内に広がり、末端は酸素と二酸化炭素を交換する肺胞と呼ばれる部屋となっています。


2)肺がんの発生
肺がんは気管、気管支、肺胞の細胞が正常の機能を失い、無秩序に増えることにより発生します。最近、がんの発生と遺伝子の異常についての研究が進んでいますが、細胞がなぜがん化する(無秩序に増える悪性の細胞にかわる)のかまだ十分わかっておりません。がんは周囲の組織や器官を破壊して増殖しながら他の臓器に拡がり、多くの場合、腫瘤(しゅりゅう)を形成します。他の臓器にがんが拡がることを転移と呼びます。

3)肺がんの統計
年齢別にみた肺がんの罹患(りかん)率、死亡率は、ともに40歳代後半から増加し始め、高齢ほど高くなります。死亡率の年次推移は、1960年代から80年代に急激に増加しましたが、90年代後半から男女とも若干の減少傾向にあります。

罹患率、死亡率は男性のほうが女性より高く、女性の3倍から4倍にのぼります。がんで亡くなった人数を部位別に多い順に並べると、肺がんは男性で第1位、女性で第2位です。罹患数と死亡数に大きな差はなく、これは、肺がん罹患者の生存率が低いことと関連しています。

男性の肺がん死亡率の年次推移を生まれた年代別に見ると、1930年代後半に生まれた人は低く、その前後に生まれた人は高い傾向があります。これは30年代後半生まれの世代は、生涯喫煙率(喫煙経験がある人の割合)が低いことと関連があります。

罹患率の国際比較では、日本人は欧米人に比べると低い傾向があります。がんの組織型では、近年、扁平(へんぺい)上皮がんに比べ、腺がんの割合が増加しています。

4)肺がんの組織分類
肺がんは、小細胞がんと非小細胞がんの2つの型に大きく分類されます。

非小細胞肺がんは、さらに腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん、腺扁平上皮がんなどの組織型に分類されます。肺がんの発生しやすい部位、進行形式と速度、症状などの臨床像は多彩ですが、これも多くの異なる組織型があるためです。腺がんは、我が国で最も発生頻度が高く、男性の肺がんの40%、女性の肺がんの70%以上を占めています。通常の胸部のレントゲン写真で発見されやすい「肺野型」と呼ばれる肺の末梢に発生するのがほとんどです。肺がんの中でも他の組織型に比べ臨床像は多彩で、進行の速いものから進行の遅いものまでいろいろあります。次に多い扁平上皮がんは、男性の肺がんの40%、女性の肺がんの15%を占めています。気管支が肺に入った近くに発生する肺門型と呼ばれるがんの頻度が、腺がんに比べて高くなります。大細胞がんは、一般に増殖が速く、肺がんと診断された時には大きながんであることが多くみられます。

小細胞がんは肺がんの約15〜20%を占め、増殖が速く、脳・リンパ節・肝臓・副腎・骨などに転移しやすい悪性度の高いがんです。しかし、非小細胞肺がんと異なり、抗がん剤や放射線治療が比較的効きやすいタイプのがんです。また、約80%以上では、がん細胞が種々のホルモンを産生しています。しかし、ホルモン産生過剰による症状があらわれることはまれです。

5)肺がんの原因と予防
肺がんのリスク要因を考えるうえで、喫煙習慣を切り離して考えることはできません。非喫煙者に対する喫煙者の肺がんリスクは、欧米では20倍以上とされていますが、日本ではそれよりも低くなっています。日本人を対象とした疫学研究のメタ・アナリシス(2006年)では、男性で4.4倍、女性で2.8倍という結果でした。また、組織型別では、扁平(へんぺい)上皮がんについては男性12倍、女性11倍であるのに対し、腺がんについては男性2.3倍、女性1.4倍と大きな違いが示されています。欧米では、たばこが肺がんの発生原因の90%とされていますが、日本では、男性で68%、女性では18%程度と推計されています。また、受動喫煙によって、肺がんのリスクが高くなるという科学的根拠は十分あると評価され、受動喫煙がない者に対し、20〜30%程度高くなると推計されています。

その他、アスベスト、シリカ、砒素(ひそ)、クロム、コールタール、放射線、ディーゼル排ガスなどの職業や一般環境での曝露(ばくろ)、さらに、石炭ストーブの燃焼や不純物の混ざった植物油の高温調理により生じる煙(中国の一部地域)、ラドンなどによる室内環境汚染も、肺がんのリスク要因とする根拠は十分とされています。

野菜・果物の摂取、特に果物は、リスクの軽減につながっている可能性があるとされていますが、多くの研究で、喫煙など、別の要因による結果への影響を完全に取り除けていない可能性があり、十分とはされていません。野菜・果物の中の、どの成分が重要な役割を果たしているかについてはわかっていません。最も注目されたのが、抗酸化作用を持つβ−カロテンでしたが、欧米で喫煙者などハイリスク・グループを対象にして行われた、2つの無作為化比較試験の成績は、β−カロテンを多く摂取(1日20〜30mg)すると、かえって肺がんリスクが20〜30%程度高くなるという結果に終わりました。そのため喫煙者では、高用量のβ−カロテンは、肺がんリスクを高くする根拠が十分とされています。

他に、遺伝的素因として、発がん物質の代謝経路にある酵素の活性などを決める遺伝子多型が、いくつか候補に挙げられていますが、遺伝子関連の研究はまだ初期の段階にあり、根拠としては不十分です。


2.症状
なかなか治りにくい咳や胸痛、呼吸時のゼーゼー音(喘鳴:ぜんめい)、息切れ、血痰、声のかれ(嗄声:させい)、顔や首のむくみなどが一般的症状です。扁平上皮がんや小細胞がんに多い肺門型の肺がんは、早期から咳、痰、血痰などの症状が出現しやすいものです。腺がんに多い肺野型の肺がんは、がんが小さいうちは症状が出にくい傾向があり、検診や人間ドック、高血圧などの他の病気で医療機関にかかっている時に見つかることが多くなっています。ときに転移病巣の症状、例えば脳転移による頭痛、骨転移による腰痛などの骨の痛みなどが最初の症状である場合もあります。また、胸痛があらわれることもありますが、これは肺がんが胸壁を侵したり、胸水がたまったりするためです。その他、肩こり、肩痛、背中の上部痛、肩から上腕にかけての痛みもまれにあります。他のがんと同様に肺がんでも、易疲労感、食欲不振、体重減少があらわれることがあります。

小細胞肺がんは種々のホルモンを産生します。そのため、まれに副腎皮質刺激ホルモンによるクッシング症候群と呼ばれる身体の中心部を主体とした肥満、満月のような丸い顔貌、全身の皮膚の色が黒くなる、血圧が高くなる、血糖値が高くなる、血液中のカリウム値が低くなるなどの症候があらわれることもあります。その他、まれに抗利尿ホルモンの産生による水利尿不全にともない、血液中のナトリウム値が低くなり、食欲不振などの消化器症状や神経症状・意識障害が出現することがあります。この他、大細胞がんでは、細胞の増殖を増やす因子の産生による白血球増多症や発熱、肝腫大などがあらわれることがあります。

このように肺がんの一般症状は、風邪などの症状と区別がつかないことが多いので、なかなか治りにくい咳、血痰、胸痛、喘鳴、息切れ、嗄声、発熱などを認める場合には医療機関の受診をお勧めします。喫煙歴のある40歳以上の人は、注意が必要です。

3.診断
咳、痰などの症状がある場合、最初に胸のレントゲン検査をします。次にがんかどうか、あるいはどのタイプの肺がんかを顕微鏡で調べるため、肺から細胞を集めます。通常は痰の中の細胞検査をします。

1)気管支鏡検査
痰が出ない場合、あるいは痰で診断ができない場合、気管支鏡あるいはファイバースコープと呼ばれる特殊な内視鏡を鼻または口から挿入し、喉から気管支の中を観察し、組織や細胞を採取します。この検査は通常外来で行われます。検査に先だって、検査による喉や気管の痛みを軽減するため、口腔の奥まで局所麻酔を行います。太さ5〜6mmの気管支鏡を使って、気管支の壁から細胞をとったり、組織の一部をとり、標本をつくって顕微鏡でがん細胞があるかどうか検査します。これを生検と呼びます。検査時間は約20分です。検査中は目覚めており、通常、検査後数時間以内に帰宅できます。

2)穿刺吸引細胞診(せんしきゅういんさいぼうしん)
もし病巣まで気管支鏡が届かなかったり、採取された検体が診断に十分でない場合、局所麻酔下に肋骨の間から、細い針を肺の病巣に命中させ、細胞をとります。この場合、レントゲンで透視をしながら行います。

3)CTガイド下肺針生検
コンピューターを使ったX線写真(CT)で目標を定め、針を病巣に命中させ組織をとります。採取した細胞を顕微鏡で検査します。

2)と3)の検査の場合、病巣へ針を刺して細胞・組織をとるため、まれに肺の外に空気が漏れて肺が縮んでしまう場合があります(これを気胸(ききょう)といいます)。この気胸がおこらないかどうかを確認するため、数日間の入院が必要になる場合があります。

4)胸膜生検
局所麻酔をして肋骨の間から特殊な器具を用いて胸膜を一部採取し、がん細胞がないかどうか検査します。肺の外側に水がたまっている(胸水)場合、同様の手法で注射針を用いて胸水をとって同様に検査します。

5)リンパ節生検
首のリンパ節がはれている場合、リンパ節に針を刺して細胞を採取したり、局所麻酔をして外科的にリンパ節を採取します。採取した細胞・組織を顕微鏡下でがん細胞がないかどうか検査します。

これらの方法を用いても診断が困難な場合、外科的に組織を採取します。外科的な方法には、縦隔鏡検査、胸腔鏡検査、胸を開く方法(開胸)があります。いずれも全身麻酔が必要となります。縦隔鏡検査は、首の下端で胸骨の上のくぼみの皮膚を切開し、気管前部の組織を押しのけて空間をつくり、ここに縦隔鏡と呼ばれる筒状の器具を挿入し、直接眼で見ながら気管周囲のリンパ節や近くに位置する腫瘍組織を採取するものです。胸腔鏡検査は、胸の皮膚を小さく切開し、そこから肋骨の間を通して胸腔鏡と呼ばれる内視鏡を肺の外側(胸腔)に挿入し、肺や胸膜あるいはリンパ節の一部を採取するものです。採取した組織を顕微鏡でがん細胞がないかどうか検査します。


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大腸がん【がんに効く食品サプリメント】


1.大腸がんとは

大腸は消化吸収された残りの腸内容物をため、水分を吸収しながら大便にするところです。多種、多量の細菌の住みかでもあります。約2mの長さがあり、結腸と直腸肛門からなります。大腸粘膜のあるところではどこからでもがんができますが、日本人ではS状結腸と直腸が大腸がんのできやすい部位です。

年齢別にみた大腸がん(結腸・直腸・肛門がん)の罹患(りかん)率は、50歳代付近から増加し始め、高齢になるほど高くなります。

大腸がんの罹患率、死亡率はともに男性のほうが女性の約2倍と高く、結腸がんより直腸がんにおいて男女差が大きい傾向があります。

男女とも罹患数は死亡数の約2倍であり、これは大腸がんの生存率が比較的高いことと関連しています。

大腸がんの罹患率の年次推移は、男女とも1990年代前半までは増加し、その後は横ばい傾向です。また、死亡率の年次推移は、男女とも戦後から1990年代半ばまで増加し、その後漸減傾向です。

大腸がんの増加には、主として結腸がんの増加が影響しています。罹患率の国際比較では、結腸がんはハワイの日系移民が日本人より高く、欧米白人と同程度であることが知られていましたが、最近では、結腸がん・直腸がんともに、日本人はアメリカの日系移民および欧米白人とほぼ同じになっています。

大腸がんでは、直系の親族に同じ病気の人がいるという家族歴は、リスク要因になります。特に、家族性大腸腺腫症と遺伝性非ポリポーシス性大腸がん家系は、確立した大腸がんのリスク要因とされています。生活習慣では、過体重と肥満で結腸がんリスクが高くなることが確実とされています。また、飲酒や加工肉(ベーコン、ハム、ソーセージなど)は、おそらく確実な大腸がんリスクとされています。

国際がん研究機構(IARC)の評価では、喫煙が大腸がんのリスク要因であるとする科学的根拠は、少なからずあるものの、十分とはいえないとされています。日本人を対象にした疫学研究を系統的に総括した論文(2006年)では、喫煙習慣は、日本人では大腸がんリスクを上昇させる可能性があると結論しています。部位別の判定では、直腸がんについては、リスク上昇の可能性がある一方、結腸がんについては不十分と判定されています。

そのほか、ヘテロサイクリックアミンやニトロサミンなどが、大腸がんのリスク要因である根拠が、限定的または不十分とされています。

大腸がんの予防要因としては、運動の結腸がん予防効果が確実とされています。また、従来「確実」とされていた野菜については、IARCのレポート(2003年)での新しい評価で、「おそらく確実」と変更されました。その主な理由は、最近発表されたいくつかの大規模なコホート研究の結果、予防的な関連が認められなかったことです。また果物は、同年のIARCレポートでは、大腸がん予防の可能性があるとされています。そのほか、可能性あり、またはエビデンス不十分な予防要因として、葉酸、カルシウム、ビタミンD、食物繊維摂取などが挙げられています。また、非ステロイド消炎鎮痛剤(NSAIDs、アスピリンを含む)とホルモン補充療法が、リスクを減少させる要因として挙げられています。

大腸がんは早い時期に発見すれば、内視鏡的切除や外科療法により完全に治すことができます。少し進んでも手術可能な時期であれば、肝臓や肺へ転移(これを遠隔転移と呼びます)しても、外科療法により完全治癒が望めます。つまり、外科療法が大変効果的です。しかし、発見が遅れれば、肺、肝臓、リンパ節や腹膜などに切除困難な転移がおこります。こうした時期では、手術に加え放射線療法や化学療法(抗がん剤治療)が行われます。

手術を受けた後に再発することもあります。術後は定期的に(4〜12ヶ月の間隔)再発チェックのための検査を受ける必要があります。肝臓、肺、腹膜が転移しやすい臓器であり、また、切除した部位に局所再発がおこることもあります。大腸がんは他のがんとは異なり、早い時期に再発が見つかれば、再発巣の切除により完治も期待できます。再発の8割以上は術後3年目以内に発見されます。手術後、5年以上再発しないことが完治の目安です。


2.症状

大腸がんの自覚症状は、大腸のどこに、どの程度のがんができるかによって違います。大腸のはじまりは盲腸です。頭部、つまり上に向かう部分が上行結腸、次いで横たわっている部位を横行結腸、足つまり下に向かう部分が下行結腸、S字状に曲がっている部分がS状結腸、約15cmの真っすぐな部分が直腸で、最後の肛門括約筋のあるところが肛門管です。国立がんセンター中央病院で1990年〜1995年の間に切除された1,409例の大腸がんの発生部位と頻度は、直腸534例(37.9%)、S状結腸483例(34.3%)、上行結腸146例(10.4%)、横行結腸99例(7.0%)、盲腸83例(5.9%)次いで下行結腸64例(4.5%)となっています。

がんに特徴的な症状はなく、良性疾患でもがんと類似した症状がおきます。血便、便が細くなる(便柱細少)、残便感、腹痛、下痢と便秘の繰り返しなど排便に関する症状が多く、これらはS状結腸や直腸に発生したがんにおきやすい症状です。中でも血便の頻度が高く、これはがんの中心が潰瘍となり出血がおきるためです。痔と勘違いして受診が遅れることもありますので注意しましょう。がんによる血便では肛門痛がなく、暗赤色の血液が便に混じったり、ときに黒い血塊が出るなどの特徴があります。肛門から離れた盲腸がんや上行結腸がんでは血便を自覚することは少なく、貧血症状があらわれてはじめて気がつくこともあります。腸の内腔が狭くなりおこる腹痛や腹鳴、腹部膨満感や痛みを伴うしこりが初発症状のこともあります。

ときには、嘔吐などのがんによる腸閉塞症状で発見されたり、肺や肝臓の腫瘤(しゅりゅう)として大腸がんの転移が先に発見されることもあります。こうした症状で発見されるがんは進行したものです。


3.診断

大腸がんは、早期であればほぼ100%近く完治しますが、一般的には自覚症状はありません。したがって、無症状の時期に発見することが重要となります。大腸がんのスクリーニング(検診)の代表的なものは、地域、職域で普及してきた大便の免疫学的潜血反応で、食事制限なく簡単に受けられる検査です。この検査が陽性でも、「大腸がんがある」ということではありませんし、逆に陰性でも「大腸がんはない」ともいえません。健康な集団の中から、大腸がんの精密検査が必要な人を拾いあげる負担の少ない最も有効な検査法です。最近では、がんセンターで手術を受けた30%近くの方が便潜血反応で発見されています。したがって、40歳を過ぎたらこの検診を受けることをお勧めします。血液検査で腫瘍マーカー(CEA、CA19-9)の異常値で見つかることもあります。

大腸がんの確定診断のためには、大腸内視鏡検査が必須ですが、下剤で便を全部排出しないと精度の高い検査はできません。胃の検査などに比べれば多少負担のかかる検査といえます。以下に大腸がんの患者さんに一般に施行する検査項目に関して概説します。

1)注腸造影検査
食事制限の後、下剤で前処置を十分行います。肛門からバリウムと空気を注入し、X線写真をとります。この検査でがんの正確な位置や大きさ、腸の狭さの程度などがわかります。

2)大腸内視鏡検査
肛門から内視鏡(ビデオスコープ)を挿入して、直腸から盲腸までの全大腸を詳細に調べる検査です。大腸内に便が残っていた場合は十分な検査ができませんので、検査当日に腸管洗浄液を1〜2リットル飲んでいただき、大腸内をきれいにしてから検査を行います(80歳以上の方には検査前日からの入院をおすすめしています)。通常、検査は20分程度で終わり、多くの場合大きな苦痛もありませんが、開腹手術後などで腸の癒着している方や、腸の長い方は多少の苦痛が伴います。その場合には軽い鎮静・鎮痛剤を使用することがあります。検査は、まず内視鏡を肛門から一番奥の盲腸まで挿入して、主にスコープを抜いてくる際に十分に観察します。その際、検査を受けている方は、直接モニター画面を見ながら医師の説明を聞くことができます。もし、ポリープ等の病変を認めた場合、悪性か良性かどうかを調べるために病変の一部を採取して、どういう性状の病変かを顕微鏡で調べることもあります(これを組織生検と言います)。また、適応があれば内視鏡的に切除(内視鏡的ポリペクトミーや内視鏡的粘膜切除術(EMR))することも可能です。

3)腫瘍マーカー
血液の検査で身体のどこかに潜んでいるがんを診断する方法です。しかし、大腸がんを早期に発見できる腫瘍マーカーはまだありません。CEAとCA19-9と呼ばれるマーカーが一般的ですが、進行大腸がんであっても約半数が陽性を示すのみです。腫瘍マーカーは転移・再発の指標として、また治療効果の判定基準として用いられています。しかし、転移・再発した場合でも必ずしも異常値を示すわけではなく、逆に転移・再発していない場合でも異常値を示す時もあり、経時的な測定が必要です。

4)画像診断(CT、MRI、超音波検査、PETなど)
これらの検査の進歩は目覚ましいものがありますが、消化管のひとつである大腸にできた病気を発見するには適していません。大腸がんに関しては、原発巣での進みぐあいと肝臓や肺、腹膜、骨盤内の転移・再発を調べるために用いられます。また最近、PET検査が注目されています。骨盤CT、骨盤MRIでも判断できないような骨盤内再発の発見や腫瘍マーカーの推移などから転移・再発が疑われますが、CT、MRI、超音波検査などの通常の検査では転移・再発部位が発見できない場合にPET検査で発見される場合があります。しかし、PETは万能の検査ではありません。また、現時点では医療保険では適応が限られており、通常術前の患者さんに施行することはありません。PET検査の必要性に関しては担当医と十分ご相談下さい。


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国立がんセンターがん対策情報センターより一部転載

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喉頭がん

1.喉頭がんとは

喉頭はいわゆる「のどぼとけ」(甲状軟骨先端)に位置しており、内面が粘膜でおおわれた箱のようなものです。喉頭の内腔は上前方は舌根(ぜっこん: 舌のつけ根)につながり、上から喉頭蓋、仮声帯、室、声帯、声門下腔に分けられ、下方は気管から肺へ続いています。声帯は左右一対で「のどぼとけ」のやや下に位置しています。声帯のある部分は声門と呼ばれ、それより上を声門上、下を声門下と呼んでいます。喉頭の背側(後方)には下咽頭と呼ばれる部位があり、こちらは食道へ続いています。喉頭は、左右の声帯の閉鎖と肺からの呼気により声帯を振動させる発声機能の他に、喉頭全体の機能として空気の通り道(気道)の確保と、食物の気管内への流入の防御(誤嚥防止:ごえんぼうし)の機能を有しています。喉頭がんが進行するとこれらの喉頭の機能障害を引きおこします。

年齢別にみた喉頭(こうとう)がんの罹患率は、男性では50歳代から80歳代まで急激に増加します。女性でも年齢別の罹患率は高齢ほど高くなりますが、年齢による罹患率の増加は男性ほど顕著ではありません。罹患率、死亡率は、ともに男性のほうが高く、女性の10倍以上です。

喫煙および飲酒によって、確実に喉頭がんのリスクが高くなります。禁煙と飲酒はそれぞれが別々に、または双方が相乗的に働いて、喉頭がん発生のリスクを確実に高くします。その他、アスベストなどの職業性の曝露(ばくろ)との関連が指摘されています。

部位では、声門(声帯)に発生するがんが60〜65%を占め、声門上は30〜35%で 、声門下は極めて少なく1〜2%です。喉頭の内面は線毛上皮で気管に連続していますが、声帯だけは扁平上皮におおわれています。喉頭がんはほとんど扁平上皮がんですが、たばこ、酒などの継続的刺激が発がんに関与するといわれています。

喉頭がんも他のがんと同様に早期発見が非常に重要です。喉頭がん全体の治癒率は約70%と頭頸部がんの中でも高い治癒率ですが、早期に発見すれば音声を失うことなく治癒することが可能です。そのため最近では、喉頭がんの早期発見を目的とした音響分析による検診なども試みられています。


2.症状
がんの発生部位により最初の症状は異なります。最も多い声門がんでは、ほぼすべての方に嗄声(させい:声がれ)がみられます。この嗄声は雑音の入った、ざらざらした、かたい声です。1ヶ月以上嗄声が持続する場合は、早急に専門医を受診することが大切です。がんが進行すると嗄声はさらにひどくなり、声門が狭くなって息苦しいなどの呼吸困難症状があらわれてきます。同時に痰に血液が混じることもあります。

声門上がんの初発症状は、食物を飲み込んだ時の痛み、いがらっぽさ、異物感などです。また、次第に耳に放散する痛みが出現してきます。がんが進行して声帯に拡がると嗄声が出現し、さらに進行しますと声門がんと同様に呼吸困難などの症状を示します。声門下がんの場合は、進行するまで無症状であるため、発見が遅れがちとなります。

喉頭にがんなどの所見がなく嗄声が持続する場合は、甲状腺、食道の精密検査を行うことが大切です。

声門がんは頸部のリンパ節転移が少ないのに対し、声門上がんではリンパ節転移を多く認めます。まれに頸部リンパ節のはれが初発症状で病院を受診し、声門上にがんが発見されることもあります。これは、声門がんでは自覚症状が早期より出現するため、早期に発見される場合が多いことの他に、喉頭の構造的特徴によると考えられます。


3.診断
喉頭がんの診断は、耳鼻咽喉科を受診した時に行われる視診と、生検と呼ばれる病変の一部を採取して行われる組織診断により確定されます。視診は、口腔内に喉頭鏡という小さな鏡を入れて、「えーっ」、「いーっ」などの発声をしながら喉頭内を観察し、腫瘍性病変の有無をみますが、咽頭反射が強い(舌をひっぱられるとゲェーッとなる)など所見のとりにくい方には、鼻から細いファイバースコープを挿入して観察します。組織診断は施設により多少方法が異なりますが、咽頭、喉頭を局所麻酔剤で麻酔して咽頭反射を抑制した後、太いファイバースコープを用いて細かな部位まで観察し、次いで鉗子(かんし)により病変の一部を採取します。これを病理医が顕微鏡で見て、がんかどうかの診断を行います。病変の採取は全身麻酔下で行われることもあり、その場合には入院が必要です。組織診断は、通常1週間前後で結果が出ます。

がんの進行範囲を把握するためには、視診による直接的な観察の他に、レントゲン撮影による検査が必要となります。この検査は見えにくい部位、深部への進展の程度を判断する上で非常に有用です。頸部正面、側面撮影の他、頸部の断層撮影、CT、MRIなどの検査を行います。

また、声帯の振動様式により喉頭の病気を診断する喉頭ストロボスコピーと呼ばれる検査を行うこともあります。


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国立がんセンターがん対策情報センターより一部転載